第4話

 縦半分に見える物の謎は分からなくても、日々は過ぎていく。

 街中のビル、鏡に映る自分、道行く人々、テレビ、パソコン、スマホ……etcが縦半分だけ見えたりちゃんと全体が見えたり、そんな不思議な視界に慣れてきたある日のことだった。

~家を出ると、視界に映る全てが縦半分だけになっていた。道路も、電柱も、信号も

、自動販売機も、コンビニも、昨日までは全体が見えていた物も何もかも。

全体があると視覚的に把握できているのは自分の身体だけ。足元は東京スカイツリーの透明床に片足だけ乗せているみたいだった。

 小さくとも直下に街並みが見えるだけ、透明床の方がマシかもしれない。見えない片側の底は、足を滑らせたらどこまでも落ちていきそうな暗闇が広がっていた。

 高所恐怖症ではないと自負していたけれど、底が見えない深さを錯覚してしまうと流石に怖くなる。下を見ないようにしても前を向くだけで、割れた片側の道路と、底の見えない暗闇が広がる崖下が視界に入ってしまう。

 どうして今日になって急に悪化したのだろう。昨日の行動を振り返ってみたが、何もそれらしい理由は思い当たらなかった。

「あっ」考え事をする最中、俯いていたことに気付いた瞬間、何故か崖下に片足が沈み、僕はそのまま暗闇の中をどこまでも落ちていった~

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縦半分の世界 @UntrueHeart

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