第1章 色の説明と定義について

 さて、私は生まれてから現在に至るまで「青色は海の色」「赤色はリンゴの色」と理解してきた。これは幼少期に親や先生から「海は青色という色なんだよ」というように教わり、加えて、「青色は海の色なんだよ。」とも教わってきた。

 そこから海と青を色という関係で「同格」、イコールで結び、その式を他の物にも応用して、青色を判断し人生を生きてきた。

 ここに私と他人の差は無く、みな大体は同じであろう。

 しかし、もしも誰かが「海は青色というが、そもそも青色とは何か」という質問を私にしたときに、私は青色そのものを説明することができない。それどころか、「海=青色」という式から応用させていった経験から、「青色とは空の色と同じような色のことだよ」という説明をするだろう。

 しかし、それは誰かが質問した「青色とは何か」という質問に沿っていないと考える。なぜならそこから質問を広げていけば、空から色の式をあてはめていき、どんなに式を伸ばして行ったとしても、最終的には元の式である「海=青」にたどり着いてしまうからだ。

 つまり私たちは海や空といった同じような色に見える色を概念的に「青色」と表し、その定義は逆に「海や空の色」になってしまうのである。

 事例を変えてみる。例えば「国とは何か」という質問を受け、「国とはドイツや日本のようなものだよ」と説明した時には、その回答に疑問を持つ人は多いだろう。

 なぜならそれは「国」というものの定義を説明したものではなく「国」の具体例を説明したものだからだ。

 この質問の模範回答を考えるのであれば「国というのは領域、国民、主権から構成されている...」というように答えることができる。この答えであれば回答に疑問を持つ人は少ないだろう。

 これを式のようにするならば、「定義=事柄の名前=具体例」なのである。もっと違うものもそうであり、「戦争」とは武力による国家間の争いであり、「地球」とは銀河系にある惑星の一つである。もちろん、しっかり説明するなら、もっと詳しい説明になるだろう。

 しかし色は、「事柄の名前=具体例」になる。もしくは、青色を具体例で示すことから、「具体例=事柄の名前=具体例」になるのかもしれない。

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色による疑問について @Tachibana_Ya

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