第3話 氷の洞窟と龍
イヴァルスの最も奥深くに存在するとされる「氷の洞窟」にたどり着いたのは、それから数週間後のことだった。二人は厳しい自然を乗り越え、ついに洞窟の入口へと到達した。洞窟の奥へ進むと、そこには氷でできた巨大な扉が待っていた。
「これが…竜の眠る場所…」リーヴァは息を飲んだ。
カインもまた、その壮大な光景に言葉を失っていた。
扉の前で、リーヴァは『竜の契約書』を手に、契約の儀式を開始した。古代の言葉を口にすると、氷の扉がゆっくりと開き、その先には巨大な青い竜、フィンラドールが鎮座していた。彼の体はまるで星空のように光り輝き、圧倒的な存在感が洞窟を満たしていた。
「人間よ…なぜここへ来た?」
フィンラドールの声が洞窟全体に響き渡る。
リーヴァは一歩前に出て、竜と向き合った。「力を求めて来ました。あなたと契約を交わし、この世界を救いたいのです。」
竜はその目でリーヴァをじっと見つめ、しばしの間沈黙した。
「契約は重い責任を伴う。お前はその覚悟ができているのか?」
竜の声には、試すような鋭さがあった。
「私はすべてを賭けてここに来ました。覚悟はできています。」リーヴァの目は揺るがなかった。
竜は満足げに頷き、リーヴァの手を彼の巨大な爪に差し出させた。次の瞬間、竜とリーヴァの間に契約の光が走り、彼女の体内に竜の力が宿った。その力は、彼女の体を包み込むように輝き、かつてないほどの力を感じた。
「これでお前は私と共にある。だが、力の使い方を誤れば、お前自身がこの世界の破滅を招くことになるだろう。」
フィンラドールの言葉が、リーヴァの胸に深く響いた。
契約を終えたリーヴァは、竜の力を得た新たな自分を感じながら、洞窟を後にする。カインも彼女の変化に驚きを隠せなかったが、共に大陸を救うための旅を続けることを誓った。
これからリーヴァは、竜の契約者としての使命を果たし、白銀の大陸に平和をもたらすため、さらなる試練に挑むことになる。しかし、彼女の前にはまだ知らぬ脅威と大きな運命が待ち受けていた。
「白銀の大陸と竜の契約者」 @nasujagaimo123
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