蛍火

岸亜里沙

蛍火

華やかな蛍火の中を、

僕たちは駆け抜けた。


泥だらけになって、

日が沈んだ後も、

家に帰ろうともしなかった

少年時代。


虫取りに、鬼ごっこ。

川辺で釣りをしながら、

友達と笑い合う。


冷たい水に足を浸け、

木陰の静寂に隠れながら

ラムネの瓶の中を泳ぐ

ビー玉を眺めた。


なんの悩みもなく、

毎日が楽しかったあの頃。

二度と戻れない

真夏の残像だけが、

胸に鮮やかな火を灯す。


仕事で全国を飛び回る日々。

来年の夏、

僕は何処にいるのだろう。

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蛍火 岸亜里沙 @kishiarisa

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