ボクと君は世界に抗う

ながライス

ボクと君は世界に抗う

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プロローグ


2078年、日本のある研究所から暴走した機械たちが突然現れ、人間を見つけると容赦なく襲いかかってくる。もちろん、人類は抵抗し、軍も必死に戦ったが、その努力は無駄に終わり、機械たちには通用しなかった。この機械の影響で人類の60%が消失し、滅亡の危機に直面していた。


第一章 キミは誰?


うぁぁぁぁぁぁぁぁ

草木のない荒野で、一人の少女の叫び声が響く。

「なんでっ、怪物がぁあ…」

白髪の少女がミュータントに追われ、今にも捕まってしまいそうだ。

「だっ、誰かぁぁ、助けてぇぇ!!」

少女の助けを求める声が荒野に響き渡る。その瞬間、

「グォォォァァァ」

「ふぇ…?」

なんとミュータントが網に絡まって動けなくなっていた。

「た…助かった…」

少女は安堵の表情を浮かべる。

「だっ、大丈夫!?」

その時、目の前に桃色の髪を持つ同じ年頃の少女が立っていた。

「うん、私は大丈夫…ところで君は誰?」

「私?私の名前はハル、よろしくね!」

ハルと名乗る少女がにっこりと微笑む。

「あなたの名前は?」

「ボクはユキ…」

「ユキ…素敵な名前だね!」

「ありがとう…」

「どうしてここにいるの?」

ハルが尋ねる。

「親と喧嘩して…家を飛び出して走ってたら、いつの間にか荒野に来ちゃって…」

「なるほど、ここは第4区域だね?」

「うん」

「一緒だね!」

「一緒に帰ろうよ!」

「わかった」

帰る途中、

「君はすごいね、ミュータントを無力化するなんて」

「いやぁ…そんなことないよぉ…」

「ふふっ」

ユキが小さく笑った。

「今、笑ったの?」

「いいえ、笑ってないよ。」

「ほら、もう壁が見えてきたよ。」

目の前には大きな壁が立ちはだかっている。これが私の住む地域だ。


第4生活区域内


「ねぇ、私たち友達にならない?」

「友達…?」

「うん、友達が欲しいの。私、友達がいないから。」

「うん!なろう!」

ユキは嬉しそうに答えた。

ユキにとって初めての友達だったから。

「ありがとう!」

「えっ!?急に抱きつかないで!」

「ごめんね。」

「びっくりしたよ…」

「え?顔が赤いよ〜?」

「別に赤くない!もう帰るから!」

「ちょっと待ってよ〜!」


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ユキの家


ユキが帰ると、両親に急に抱きしめられた。

「ごめんね…ママが強く言っちゃったから…ごめんね…」

「えっ…大丈夫だよ。私は生きてるし、ママが自分を責める必要はないよ。」

「ユキ…ありがとう…」

「ねぇ、ママ、今日のご飯は何?」

「今日はユキの大好きなオムライスだよ。」

「本当に!?やったー!」

ユキは嬉しさで飛び跳ねた。

夜ご飯が楽しみだなぁと思うユキだった。



「はい、ママ特製のクリーミーオムライス!」

「わぁぁい!」

「美味しそう!」

「たくさん食べてね。」

「うん!」

オムライスをスプーンですくい、口に運んだ。

「美味しい!」

「そう?良かったわ。」


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これがユキとハルの出会いだった…


第2章 キミとの日常


ハルとの出会いから10年が経ち、私たちは16歳になった。

「ハル!起きて!遅刻しちゃうよ!」

「えぇ…あと5分だけ…」

「ダメだって、早く起きて!」

「わかったよ…」

ボクとハルは今、一緒に暮らしていて、ほぼ同棲状態だ。

「急がないと討伐任務の期限に間に合わないよ!」

「ユキちゃん、せっかちだなぁ」

「…」

ユキはハルに向かって少し殺気を放つ。

「ま、まぁ…それがユキちゃんの魅力でもあるけど…あはは、怖いからその殺気はやめて?」

ハルは少し怯えた様子で言った。

「だって、ハルはこうしないと聞かないじゃん?」

「それは否定できない…」

「ところで、どんなミュータントの討伐任務なの?」

「確か、人型の2m級だったと思う。」

「2m級なら楽勝だね。」

「慢心は禁物だよ。余裕ぶって痛い目にあったこともあるじゃん。」

「すみません…」

「さあ、もう行くよ。」

「あぁ、ユキちゃん待って!」

「刀を忘れてるよ。」

「ほんとだ、ユキちゃんのも忘れてる!」

「あっ…」

「ぷぷー」

「早く行こう!」

赤面を隠しながら、急いで家を出た。

そしてミュータントの元へ向かう…

「あ、いた!」

「奇襲作戦で行こう。」

ユキが提案した。

「奇襲作戦?どういうの?」

「僕が右から、ハルが左から忍び寄って同時に攻撃するんだ。」

「なるほど、頭いいね!」

「こんなの誰でも思いつくと思うけど…」

ユキは困惑気味に言った。

「じゃあ、やろうか。」

「うん、わかった。」

ユキが指で合図をすると、2人はミュータントに向かって突進した。

「ユキちゃん!横から来てる!」

と叫ぶと、「分かってる!」とユキが返す。すると、ミュータントが大きな腕を振りかぶったが、ユキは華麗に宙返りしてその攻撃をかわした。「これでも喰らえ!」

と叫び、ユキはミュータントの太い腕に刀を振り下ろした。「よし」と言いながら、ハルは後ろからミュータントの頭を狙っていた。ユキが腕を切り落としたことで、ミュータントは少し体勢を崩した。

「ハル!今だ!」

とユキが叫ぶ。

「最後の一撃!」

とハルが刀を振り下ろすと、ミュータントはもがきながらも動かなくなった。

「やったね!ユキちゃん!」

と喜ぶと、

「うん、報酬をもらいに帰ろう」

とユキが答えた。

「うん!」

と答え、2人はミュータントを後にした。

「おじさーん!ミュータント倒したよー!」

と叫ぶと、「おぉ、倒してくれたか、よくやったのぉ」

と老人が返す。彼は討伐任務を与え、褒美をくれる職業だ。

「おじさん、褒美をちょうだい」とユキが言う。「2m級だから金貨10枚だね、はいどうぞ」と老人が答える。

「ありがとう、おじさん」

とユキが感謝すると、「ねぇ!ユキちゃん、この後食料買いに行かない?」

とハルが提案する。

「いいね、行こう」

とユキが答え、

「おじさん、またねー!」

と手を振る。「元気でなー」と老人が見送る中、2人は店を後にした


市場へ


「おっ、ユキとハルじゃないか」

八百屋のおじさんが声をかける。

「あっ!八百屋のおじさーん」

「こんにちは」

ユキはしっかりと挨拶を返す。

「今日は新鮮なトマトがあるよ。買っていくかい?オマケもつけるよ」

「本当にいいんですか?じゃあトマトを2つください」

「はい、トマト2つで金貨3枚だよ」

「はい、どうぞ」

「いつもありがとう!」

「おじさん、バイバイ!」

「また来てねー」

こうして二人は八百屋を後にした。

「今日はトマトを手に入れたし、ハルの好きなオムライスを作ろうか」

「オムライス!?やったー!」

「ふふ、可愛いね」

「///」

ハルの顔が赤くなる。

「そういうのは…家でやってよ…」

「家ならいいの?」

「とにかく、早く帰ろう?」

「あぁ、そうだね」


家に着いて


「はぁ…疲れたー」

ハルがソファーで伸びをしている。

「確かに疲れたね」

「先にお風呂入る?」

「うん、お風呂入るよ」

「じゃあ、一緒に入ろうか?」

「一緒に…?」

ハルが少し驚いた様子で尋ねる。

「うん」

少しの沈黙の後、ハルが口を開く。

「…いいよ」

「やった!」


お風呂タイム


「じゃあ、入るね」

「うん」

ハルが扉を開けて風呂場に入ってくる。

「相変わらず綺麗な体だね」

ユキが言う。

「ちょっと、あんまりジロジロ見ないでよぉ」

「そんなこと言われると、もっと見たくなるよ」

「早く体を洗いなさい!」

「はいはい」

そして二人は交互に体を洗った。

この家の湯船は意外にも広くて、二人がギリギリ入れるくらいのスペースがある。二人は一緒に湯船に浸かりながら、ユキがリラックスした様子で「ふぁ…暖かいねぇ…」と呟いた。

「そうだねぇ、ユキちゃん」とハルも頷きながら応じる。

「あっ、そうだ!いいこと思いついた」

とユキが小声で言った。次の瞬間、ユキはハルの胸をモミモミし始めた。

「ひぁぁっ!?

ちょっとユキちゃん!?」

と驚くハル。

「いやぁ、いい揉み心地だねぇ…」

とユキは楽しそうに続ける。

「やめてぇっ、ひっ…んっ...///」

とハルが慌てる。

「おっと、これはちょっとえっちぃね」

とユキが笑う。

「もう、ひどいよ!急にそんなことするなんて」とハルは少し怒った様子。

「じゃあ、急じゃなかったらいいの?」

とユキが挑発する。

「…違うっ!」

とハルが反論する。

「怒ったなら、こっちもやるよ」

とユキが言うと、次の瞬間、ハルがユキの胸を揉み始めた。

「んぁぁっ!?ちょっとハル!?」

と驚くユキ。

「仕返しだよ、笑。それにしても、ちょっと小さいね」

とハルが言う。

「うるさい…あっ…んっ」

とユキが反応する。

「さすがに可哀想だから、そろそろやめてあげる」と言いながら、ハルは手を離した。

「小さいって言うのは失礼だよ」

とユキが抗議する。

「ごめんね、笑」

とハルが謝る。

「許さぬ」とユキが言うと、

「誠に申し訳ございませんでした」

とハルがすぐに土下座をした。

早すぎる反応だ。

「よかろう」

とユキが言い、賑やかな入浴タイムが終わった。

ユキがハルに向かって言った。

「オムライス、できたよー!」

「本当に!? やったぁ!」

机の上には、二つのオムライスが美しく並んでいた。

まるで一流のシェフが手がけたかのように、見た目も味も素晴らしい。

「やっぱりユキちゃんのオムライスは最高だね!」とハルが笑顔で言う。

ユキは少し照れながら、「褒めても何も出ないよ〜」と返す。

「内心は喜んでるくせに〜」とハルがユキの頬を軽くつつく。

「くっ…バレてるか…」

「ふふ、さあ、冷めちゃうから食べよう!」

「そうだね!」

「いただきまーす!」

ぱくりとオムライスを口に運ぶ。

「んんん!美味しすぎる!」

「本当に?ありがとう!」

「さすがユキちゃんだね!」

「えへへ、好きな人に褒められると嬉しいなっ」

「好きな人///!?」

「ハルは私のこと嫌い?」

「…大好きだよ。」

「本当に?嬉しい!」

心の中で、こんな日々がずっと続けばいいなと思うハルだった。


夜11時頃、

「じゃあ、電気消すねー」

「はーい!」

パチッと部屋が暗くなる。

「おやすみ、いい夢を見てね。」

「うん、おやすみ、ユキちゃんもいい夢を!」

「ありがとう。」


そして10分後、

「ユキちゃん、もう寝たかな…?」

横には、すやすやと寝息を立てるユキの姿があった。

「寝てるよね…」

ハルはそっと手を自分の下の方に伸ばす。

「んっ…ユキちゃんっ…」

「んっあっ!」

「何してるの?」

突然、ユキが目を覚ました。

ハルは驚いた。

ユキが突然、バッと起き上がった。その瞬間、ハルは驚いてビクッとした。

「いや、何もしてないよ…」と慌てて言う。

「そう?なら良かったけど…」とユキは言う

ハルはギリギリでバレていないと思った。一方、ユキは心の中で思っていた。

「えぇ!?ハル、私の名前を呼びながら一人でやってたの…女の子だもの、欲求が溜まるのも無理ないよね…」


翌朝


「ふぁぁ…おはよう…ユキちゃん、まだ寝てるの?」とハルが静かに呟く

「相変わらず可愛い寝顔だなぁ…」と、ハルはユキの額にキスをした。

「起きてないよね?」と赤面しながら言う。

「起きてるよ」とユキ。

「ひやぁぁぁぁ!!」

「起きてるなら言ってよ!」とハル。

「だって、何するか気になったし…」

「まさかハルから来るなんてね?」とユキ。

「今日は一人で討伐任務に行こうっと」とハルが部屋を出ようとすると、

「ごめんってー」とユキがすぐに謝った。


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第3章 強敵


「今日の討伐任務はちょっと危険な5m級だよ」と言う。「5m級…なかなかだね…ハル、いける?」とユキ。

「どんな敵もかかってこい!このハル様がやってやる」と胸を張るハル。

「いい意気込みだね」とユキ。

「おじさん、この依頼引き受けるよ」とハル。「おぉ、助かるよ。報酬は金貨20枚じゃ」とおじさん。

「よし、ハル、頑張ろう!」

「うん!」と二人は依頼所を後にした。

「5m級…私たち二人ならいけるよね!」

「あぁ、きっと大丈夫だよ」

「そうだね!早速敵を倒しに行こう!」

「行こう」

そしてミュータントの元へ向かう

「あれが5m級か…オーラがすごいな…」

約100m先に、今回のターゲットであるミュータントとその周りにいる2m級のミュータントが見えた

「そうだね、周りの2m級のミュータントにも気をつけないと」

「うん、分かってるよ」

「じゃあ…倒しに行こう!」

「ちょっと待って」

ユキが立ち上がったハルを止める

「ん?どうしたの、ユキちゃん」

次の瞬間、ユキはハルにキスをした

「えぇ!?」

ハルは驚きながら言った

「絶対に勝つためのお守りと、朝の仕返しだよ」

「うぅ…これは勝つしかないね」

「さあ、今度こそ行こう」

「うん!」

次の瞬間、二人はミュータントたちの元へ駆け出した

「くっ、もう気づかれたか」

走り始めて3秒。まだ距離があるはずなのに、気づかれてしまった

「最近のやつは察知能力が高いな」

すると、気づいたミュータントたちが二人に向かって突進してくる

「ハル!僕は周りの奴らを処理するから、ハルは少しの間5mの相手と戦ってて!」

「わかった!死なないでね!」

「大丈夫だよ」

ユキは突進してくるミュータントの上を大きくジャンプしてかわした

「隙あり!」

次の瞬間、ユキは落下地点にいたミュータントに刀を上から突き刺した

「うわぁぁぁぁぁ!」

「まずは一体…」

刀に付着した血を振り払って言う

そして次のミュータントが襲いかかってきた。ユキはその存在に気づかず、直撃を受けてしまう。

「ガハッ」

(くそ…気づかなかったせいで、思いっきりダメージを受けてしまった…)

ユキは数メートルも吹き飛ばされた。

「ユキちゃん!大丈夫なの!?」

「問題ない…」

再びミュータントが攻撃してきたため、ユキは身をかわしつつ懐に飛び込み、ミュータントの脇腹に刀を突き刺した。

「よし、あと一体…」

最後の一体は巨大な岩をユキに投げつけようとしたが、その岩はあっさりと切り裂かれた。

「こんな岩、簡単に切れるわ」

岩が切られたことに驚くミュータントに向かって突進し、高くジャンプしてミュータントの頭から股にかけて一刀両断した。

周囲のミュータントを倒したユキは、

「ハル!今そっちに向かう!」

と叫んだ。


ユキが戦っている頃


大型のミュータントがハルを潰そうと殴りかかってきた。

「遅いね」

ミュータントの攻撃はハルに当たらず、逆に腕を切りつけた。

「これなら一人でもいけるかも…」

しかし、次の瞬間、慢心したことを悔いることになる。

「へ?」

ミュータントが蹴りを放ち、ハルはそれをまともに受けてしまった。

「グッ」

自分の体ほどもある脚の蹴りを受けたため、激しい痛みが走る。

「はぁはぁ…なかなかやるね…」

ハルとミュータントは接戦を繰り広げていた。

「ハル!今そっちに向かう!」

「ユキちゃんが来てくれるなら安心だ…」

ハルは安堵の表情を浮かべた。

「ハル!大丈夫か?」

「うん、大丈夫だよ」

「よかった…」

「話す時間はなさそうだね…」

「そうだね」

ミュータントがこちらに岩を投げてきた。

2人は左右に分かれて避け、ミュータントに斬りかかった。

「ハル!腕を切り落とせ!」

「わかった!」

2人はミュータントの腕を切り落とそうとしたが、

「くっそ硬い…」

5メートル級のミュータントの皮膚は非常に硬く、刃がなかなか通らなかった。

「本当に硬い…」

「ハル!同じ場所を攻撃しよう!」

「了解!今そっちに行く!」

ハルがユキの元へ向かおうとしたその瞬間、ミュータントに蹴り飛ばされてしまった。

「ハル!?」

「きゃぁぁぁぁ!」

「今助けに行く!」

ユキが助けようとした瞬間、腹に拳を受けてしまった。

「グハッ…アバラが三本は逝ったか…」

「ユキ、大丈夫か!?」

「ハルこそ無事か?」

「なんとか…」

「どうすれば…」

ハルは考え込んでいた。

「…あっ!これを使おう!」

そう言ってユキはポケットから超小型爆弾を4つ取り出した。

「なるほど、高火力の爆弾なら倒せるかもしれないね…」

「でも成功するかは分からない、一か八か…」

「それでもやる価値はあると思うよ」

「よし、やってみよう!」

2人はミュータントの元へ向かっていった。

「ハル!合図を出したら設置して爆発させるんだ!」

「わかった!死なないでね!」

「あぁ」

ユキとハルはなんとかミュータントの攻撃をかわしながら爆弾の設置に成功した。

「よし、あとは爆発させるだけだ!」

「離れて!」

轟音と衝撃波が私たちを襲った瞬間、思わず息を呑んだ。

「くっ…」

砂埃が舞い上がり、視界が遮られている。

「ユキちゃん、大丈夫?」

「うん、私は大丈夫。でもハルは?」

「何とかやってるわ」

そう言いながら、砂埃が徐々に薄れていくと、恐らくミュータントと思われる物体が目に入った。

「やった!ユキちゃん、倒したよ!」

「あぁ…本当に大変だったね…」

「今すぐ生活区域に戻ろう!」

「あっ、うん…」

「どうしたの?」

ハルがユキの顔を見つめると、彼女の顔色が少し悪くなっているのに気づいた。

「なんだか嫌な予感がする…」

「嫌な予感?」

「うん、すごく不吉な気配がする…」

「不吉な気配…?とにかく早く戻ろう!」

「うん…」

そうして二人は第4生活区域へと急いだ。しかし、彼女たちが目にしたのは衝撃的な光景だった。

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最終章 どうして?


「もうすぐ区域に着く…え?」

「どうしたの…って、え?」

目の前に現れたのは、全長30mにも及ぶ超巨大ミュータントと、先ほど倒した5m級のミュータントが大量に襲いかかっている光景だった。

「何あれ…私たちの故郷が…」

「落ち込んでいる暇はない!急いで奴らを追い払おう!」

2人は急いで敵の元へと向かった。

「はぁ、やっと着いた…」

「一般人が次々と襲われている…」

「あっ、あれは!」

そこには、5メートル級のミュータントに襲われそうな八百屋のおじさんがいた。

「ユキ、ハル!今すぐ逃げなさい!こっちに来るな!」

八百屋のおじさんは必死に叫んだ。

「でも、おじさんたちが…」

「いいから、早く!死ぬぞ!」

その瞬間、おじさんは頭を噛まれてしまった。

「いゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

「おじさん…」

「ハル!ここは危険だ、急いで逃げるんだ!」

「…」

ハルはうつむいたまま動かなかった。

「おい、ハル!早く…」

「…す」

「え?」

「おじさんを…この街の大切な人たちを殺した奴らを…殺す」

そう言うと、ハルは一人で突撃してしまった。

「ハル!ダメだ、戻ってこい!」

その呼びかけはハルには届かず、彼女は走り去ってしまった。

「くっそ、行くしかないか…」

ユキもハルの後を追った。

そして、ユキはハルに追いついた。

「ハル!敵が多すぎる!二人だけじゃ無理だ!」

「分かってる!でも、こいつらはっ!」

ハルは一人でミュータントを倒し続けていたが、どんなに切っても刺しても、次々と湧いてくるミュータントに苦戦しているようだった。

「ハル!援護する!」

「助かる!私は大きいやつをやってみせるから、ユキちゃんは小さいのを頼む!絶対に死なないでね!」

「あぁ!」

ユキは次々と襲いかかるミュータントの攻撃をかわしながら、斬撃を加えて数を減らしていった。「この調子なら…」

と呟いた瞬間、何かが横を通り過ぎた。それがハルだと気づくのに時間はかからなかった。

「ハル!大丈夫か!」

と叫ぶと、

「ゲホッゲホッ…私は大丈夫…ユキちゃんは集中して…」

と返事が返ってきた。

「くっそ、キリがない」

とユキは思ったが、彼女は巨大なミュータントが自分に拳を振り下ろそうとしていることに気づいていなかった。

「ユキちゃん!危ない!」

と叫ぶと、

「へ?」

と驚くユキ。刹那、ハルに押し飛ばされ、何が起こったのか理解するのに一瞬かかったが、すぐにハルが自分を庇ったことに気づいた。

「ハル!大丈夫か!?」

と心配する。

「うん…私は大丈夫。それよりユキちゃんは怪我ない?」

とハルが言う。

「そんなことより自分の心配をしろよ!もうボロボロじゃないか!」

とユキは叫んだ。

「え?あぁ、そうだね…」

とハルは苦笑いしながら答えた。彼女の頭からは血が流れ、指の骨も折れているようだった。

「ここはもういい、早く逃げよう!民間人の避難は終わってるんだから、ここにいても意味がないよ!」

とユキが言う。

「私がここで奴らを倒さないと、他の区域に行っちゃうでしょ?だからここで倒さないと…」

とハルは主張する。

「でもハルの体は限界だって…片目見えてないんでしょ?」

とユキが問いかける。

「あはは、バレてたか…」

とハルは笑いながら言った。

「早く二人でどこか遠くに逃げて、幸せに暮らそうよ!」とユキが提案する。

「それは素晴らしい提案だけど…実現は難しいな…」

「ねぇ、ユキちゃん?」

「どうしたの?」

「来世で生まれ変わったら、私と結婚してくれるかな?」

「何を言ってるんだ、まだ死ぬわけじゃないだろ」

「お願い、答えてよ」

その言葉はまるで別れのように感じられた。

「…何度生まれ変わっても、ハルのことが好きだよ」

「その言葉を聞けて嬉しい」

「これ、受け取って」

ハルはユキにネックレスを手渡した。

「っ…これはずっと大切にしていたものじゃないか」

「私にはもう必要ないから…」

「何を言ってるんだ、早く起き上がって逃げるんだ!」

ユキはハルにそう言いかけた。

「ねぇ、ユキちゃん」

「何?」

「大好きだよ、何十年、何百年経っても…こんな私を好きになってくれてありがとう。また100年後に会おう…」

「え?」

ハルがそう言った瞬間、ユキは衝撃波を放つ波動弾を死なない程度に調整してユキに投げた。

そしてユキは空高く飛ばされた。

「まさか、ハルが一人で…」


地上では、


「最後の別れを告げたし…最後の仕事を始めるか…」

ハルがそう言うと、ひとりでミュータントの元へ突っ込んでいった。


エピローグ


あれから、ボクは見知らぬ場所に飛ばされてしまった。急いで向かった先には、崩れた家々と、数多くの人々やミュータントの遺体が散乱していた。そして、ハルと思われる遺体がそこに横たわっていた。美しい桃色の髪は赤く染まり、かつての美しい姿は傷ついてしまっていた。

その瞬間、ボクは絶望、喪失感、怒り、そして悲しみが押し寄せてきた。

「どうして?どうしてハルは死んでしまったんだ?」

「ボクを…街の皆を守るために?」

「ハルの死はボクのせいだ」

ボクのせいで、ボクのせいで、ボクのせいで…ハルは死んでしまった…ボクのせいで、ボクのせいで…死んだ、死んだ、死んだ、死んだ、死んだ、死んだ、死んだ、死んだ…

ユキはハルから託されたネックレスをしっかりと握りしめていた。

「うぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

悲しみと怒りが一気に押し寄せ、ボクの心は崩壊してしまった。このまま死んで、あの世でハルと幸せに過ごそうと思ったが、それはハルが望んでいないことだ。

ハルはきっと、ボクに生きて幸せになってほしいと思っているはずだ。

「ハル…ボクは生きて、ハルに自慢できるような話を持ってくるから、少し待っていてね…」

ユキはハルを抱きしめ、数時間泣き崩れていた。

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数年後

「終わったよ、ハル」

僕は元々第4生活区域があった場所に建てられたハルの墓に向かって話しかけた。

「あれから僕は頑張ってきたんだ…ミュータントを倒して、倒して…時には挫けそうになったけど、ハルのおかげで踏ん張れているよ。そっちでは元気にしているかな?ちゃんと寝坊せずに起きている?…僕はハルから託された未来を必死に守っているんだ…だから、時には顔を見せてほしいな…少しでもいいから、僕に勇気を分けてほしい………さすがに貰ってばかりじゃダメだよね…」

その時、

(よく頑張ったね、ユキちゃん)

「え?」

僕の愛するハルの声が聞こえた気がした。

「…ふふっ、ありがとう、ハル。」

「僕はこれから行くよ、街のみんなを助けなきゃ」

「じゃあ、またね」そう言い残して、ユキは墓を後にした。その瞬間、振り返ると笑顔で手を振るハルの姿が見えた。

それが幻覚なのかは分からないけれど、僕は全力で手を振り返し、

「ありがとう!」

と叫んだ。


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