京姫―ミヤコヒメ―

作者 羽結ことり

9

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★★★ Excellent!!!

 前半三章から続けて読ませていただいている者です。私は前半のレビューでは、この作品を日本文学『浜松中納言物語』と比較して評価しました。今回は長期間の連載の間に、どのように作品が変わったのかを語りたいと思います。そうして、文学好きの方に知っていただくきっかけになればと思います。

 今回は「文章」と「キャラタクー」の二点に注目して、どのように作品が面白くなったかを書きます。

 まずは文章について。
 執筆が進むにつれて、文章に変化が出ていると思います。それはロマンティックなものから、リアリズムへと変化しつつあるということです。
前半の三部はロマン主義、それも日本文学の面白さに近い特徴があります。ロマン主義の文学の面白さは、過去の世界や、和歌や詩に語られた景色が、読者の目の前に想像として浮かぶことにあります。

 本作品は神社などの名所旧跡、土地の描き方に力が入っています。時系列は現世と前世の二つがあり、現実の景色と幻の世界の景色とが反復されるところに、読み物としての面白さがあります。その交差の頂点として、前世編があります。ここまでがロマンティックな文章の面白さとなります。
 そうしたロマンティックな文章から、後半に入ってきて、リアリズムな文章に特徴が変わってきています。つまり、幻想的に書くことから、現実にある綺麗なものを選んで書くことが、巧みになってきています。 
 具体的には、キャラクターのファッションに関する描写と、食べ物と食べ方に対するディテールがより上がっています。これは前半の書き方が景色に強いのとは異なる面白さがあると考えます。

 細かな事柄を緻密な文章にすることは、作者さんの得意とされることの一つですが、その力が強まっています。
文章の書き方の特性が変わってきていても、作品全体の空気は統一されていると思います。
文章の面白さを読書の楽しみと考えた場合、この一… 続きを読む