ED4
「ダメに決まってるだろ!」
俺は言った。それは吠え声に近い言い方だったかもしれない。そこに居合わせた三人は目を丸くしていたからだ。
「池山となんて絶対にダメだ!」
「京ちゃんは、どうしてそう思うの?」
佐和は小首を傾げた。
「それは、俺がお前のことが好きだからだよ!」
「えええっ!」
佐和は叫んだ。
「おおっ! やるじゃん、京」
千賀子は笑顔を見せながら、俺の肩をポンポン叩いてきた。
「男を見せたね、京太郎くん。さあ、佐和はどうするの?」
猫田さんも俺の肩をポンポン叩いた。
「わ、私も京ちゃんが好き」
そう言って頬を熱をともすものだから、俺の方もほっぺたのあたりがカッと熱くなってくる。
「佐和……」
「京ちゃん……」
俺たちは抱き合った。周りにいる生徒たちが
「じゃあ、私たちは立ち去ろうかね?」
猫田さんが言った。
「それがいいね。周囲の目も入らないみたいだし」
千賀子が言った。
その背中を見届けて、俺と佐和は手をつないで教室まで歩いた。
途中、学生たちの視線が突き刺さる。あいつとあいつが付き合いはじめた。学生たちの噂のネットワークのなかに、俺たちも登録されてしまうようだ。
でも、そんなのどうでもいい。むしろ見せつけてやれ。世界中に知らせてやるんだ。
「お前のことは誰にも渡さない」
「京ちゃん……!」
こうして俺たちは恋人になったのである。
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目をあけると、やわらかな朝の日差しに照らされた京ちゃんの姿がとびこんできた。
「おはよう。今朝は佐和がねぼすけだな」
私が起きたのに気がつくと、京ちゃんの顔じゅうにほほ笑みが広がった。
「おはよう、京ちゃん。昨夜とても素敵だった」
昨日の夜に起こった数々のことを思い出すと、私はなんだか恥ずかしくなって、自分の枕をギュッと抱きしめた。
「こうして結ばれるなんてうれしい」
「あのさ、よかったか? きのうの俺のエッチは?」
京ちゃんは短い髪をかき上げた。
「え? どうして?」
私は目をパチクリさせた。
「どうしてって……やっぱり気になるんだよな。きのうは圧倒されちゃったし……佐和を満足させられなかったかなと思って」
「でも、そんなのってあんまり気にすることじゃないよ」
「やっぱり良くなかったのか?」京ちゃんが私の肩をぎゅっと掴んだ。「教えてくれよ!」
「ええとね……30点」
意を決して伝えた。
「え?」
京ちゃんの顔が真っ青になった。
「でもでも、愛情による加点ボーナスで100点満点だよ」
あわてて付け足した。
「そんなに評価低いのか?」
「気にしないで。はじめてで緊張して大きくならなかった人だっていたことあるぐらいだし」
「待って」京ちゃんは頭を抱えた。「お前そんなに経験あるってこと?」
「うん」と私。「ざっと30人ぐらい?」
「え」
京ちゃんの目から光が失われた。
「嘘だと言ってくれよ。俺はお前が処女だとばかり……」
「それはどうして?」
私は小首を傾げた。
「控えめな性格とか、清楚な雰囲気とかでなんとなく……」
「もう、勝手なイメージを押し付けるのはよくないよ」
私はほほえんだ。
「でも、安心して。私が京ちゃんに求めるのは愛情だけだから。下手でもいいの。心が満たされるから」
「そんなの……いやだ。男として俺は佐和のことを満足させたいんだ……」
京ちゃんの目から涙があふれだした。私は彼の手に手を重ねた。
「そこまでいうのなら……。でも、多分すごく大変になるけど、ついてこれるかな?」
「頑張る……俺、頑張るよ」
泣き出した京ちゃんの頭を私はなでてあげた。
結論から言うと、京ちゃんはそれなりに上手になった。
目の前で私とヒトシくんがするのを見せたり、千賀子ちゃんとのパートナー交換を企画したりしたのが功を奏したのかもしれない。ちなみに、千賀子ちゃんの痴態を目にした時、京ちゃんはまた泣いていた。
こうしたことと引き換えに、京ちゃんの様子が変わっていった。あまり話さなくなり、自分の世界に没入するようになった。いつもぶつぶつなにか
世の中うまくいかないな。
京ちゃんには京ちゃんのままでいてほしかったのに。
こうなったら、京ちゃんのことは切り捨てて、キープしておいた池山くんを「心の彼氏」に育てようかな?
VERY VERY GOOD END
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君たちはどうNTRれるか 馬村 ありん @arinning
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