学校2

 机につっぷして寝ていたら、誰かに肩を揺さぶられた。やべえ。先生に目をつけられたか?

「起きて、京太郎くん! 大変だよ!」

 顔を上げると、目の前に猫田さんがいた。

「たったいま、佐和が男子から中庭に呼び出しを受けたの。隣のクラスの池山くん。かなりのイケメン男子だよ!」


「別に同じ学校の仲間なんだから、交流することがあってもいいんじゃないのか?」

「ああ、もうニブいヤツ!」猫田さん頭を抱えた。「分かんないかな? 佐和は今、池山くんから愛の告白を受けるところなのよ!」

「え……?」

「来なさい、ホラ!」

 強手をひっつかまれ、俺は教室から連れ出された。


 中庭に人だかりができていた。その中心にいるのは、佐和と池山だ。池山はかなりの男前で、スラリと背が高い。猫田さんが言っていた通りかなりモテそうだ。


「渡辺さん! 今朝伝えたかったけど、決心がつかなかったんだ。今この場で、お話させてもらいます」

 池山が一歩近づいた。佐和の全身がビクンと震えた。

「あなたのことが好きです! どうかお付き合いしてください」

 池山は深々と頭を下げた。

「ええっ!」

 佐和の頬に熱がこもった。

「私…………」

「返事は後でかまわないから」池山は背中を向けた。「また会ってくれたらうれしい」


「いやー、大胆なやつもいたもんだね。いいもん見ましたわ」

 友人の千賀子が、キャンディー舐めつつ現れた。ミニスカにカスタムした制服。肩まで伸びた金髪。小麦色の肌。ギャルルックのこいつは俺のよき友人だ。

「千賀子、お前、学校来てたのか」

「京は失礼ね。毎日来てますー。あんたと違って成績もいいんですー」

 千賀子は頬をふくらませた。

「ヤッホー、千賀ちゃん」

 猫田さんが言った。

「猫ちゃん、どうする? このままじゃ、佐和ちゃんが池山くんの恋人になっちゃうよ」

「本当よね〜。それが嫌なら誰がが引きとめてあげないとね!」


「京ちゃん? 見てたの…………?」

 渦中の人物――佐和が俺たちの前に姿を現した。俺を前にして、佐和は顔をこわばらせた。

「あ、ああ。池山っていい奴そうだな」

 俺は震えがちな声で言った。

 佐和は手のひらをグッと握りしめ、俺に顔を向けてきた。いつになく強い視線を向けてきたので、俺は面食らった。

「京ちゃんはどう思うの……?」

「どうって……?」

「私が池山くんと付き合うこと。京ちゃんはどう思うの?」



・言うことはない

https://kakuyomu.jp/works/16818093087082605981/episodes/16818093087082879186


・ダメに決まってる

https://kakuyomu.jp/works/16818093087082605981/episodes/16818093087082905424

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