ED1

「繰り返すけど、千賀子はあくまで友達だよ。彼女のことは友達として好きなんだ。俺が好きなのは……その……」

 言葉に詰まった。

 本音を言えば、佐和のことが好きだ。

 だけど、こんなだらしない俺に告白されたところで、佐和はうれしくないんじゃないのか?

 そう考えていたら、俺の視線は下を向き始めて、ついにはズックの先を見つめるにいたった。

 だめだ。

 自信が出ない。

 

「私じゃ……だめかな?」

 小さな声で佐和が言った。

「えっ?」

「私じゃ。京ちゃんの恋人にはふさわしくないかな?」

「そんなこと……ない!」

 俺は叫ぶように言った。

「それじゃあ……!」

 佐和の顔は火が灯ったかのように赤くなった。

 俺は勇気を出して、佐和の手のひらに自分の手のひらを重ねた。

「そ、そういうことでよろしく頼むッ!」


 こうして俺たちは恋人同士になったのだった。


「これからもよろしくね」

 もじもじしながら佐和が言った。

「う、うん」

 もじもじしながら俺は言った。

「毎朝起こしに行くから。お弁当も……作る」

「お、おう」

「早く起きてくれなきゃイヤだからね?」

「善処する……」

「そこは約束してくれなきゃイヤ!」

 佐和が笑った。だから、俺も笑った。



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 目をあけると、やわらかな朝の日差しに照らされた渡辺佐和の姿がとびこんできた。

「おはよう。今朝はねぼすけだね」

 俺が起きたのに気がつくと、佐和の顔じゅうにほほ笑みが広がった。

「おはよう、佐和。昨夜はすごい乱れっぷりだったな」

 あくびしつつ俺は言った。


 佐和は、ピンクと黒の蝶柄の下着姿。ロングボブの黒髪はシュシュでまとめて肩に流している。雪のように白い背中のあちこちには俺の残した噛み跡。

「だって、ヒトシさんが許してくれないんだもん」

 佐和は顔を赤らめた。

「ははは、悪い悪い。ついな」

 ケースからタバコを取り出すと、佐和がライターの火をともしてくれた。

「くり返しになるけど、本当にこんなオッサンと会ってよかったのか? 彼氏、できたんだろ」

「うん……確かにそうなんだけどね」伏し目がちに佐和は言った。「全然、誘ってくれないの。彼、自分に自信がないみたいで」


「そこで、セフレの出番ってわけか。どこのどいつか知らねえけど、こんないい女放っておくなんて、もったいないねえ」

 そう言って俺は、ショーツの食い込みがちな佐和の尻をぺちんと叩いた。

「もう、変態」

 佐和は舌を出した。こういう仕草もかわいくてたまらない。気持ちがたかぶってきた俺は、彼女の腰に手を触れ、ベッドへといざなった。

「あっ……だめ。浮気は昨日の夜で終わり……なんだから……」

 そういうものの、抵抗らしい抵抗を佐和は見せなかった。


 佐和は欲望に正直な女で、肉体の欲を満たすことに貪欲なやつだ。

 誰だか知らないが、生半可なやつじゃ佐和の恋人は務まらない――多分、この俺だってな。



 BAD END1


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https://kakuyomu.jp/works/16818093087082605981/episodes/16818093087082629584

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