続・私がTRPGでGMやってた頃の話
「いま金曜夜で土曜は休み。日曜の朝から集まって遊ぶから、いけるな!」
こうして私は人生初のTRPG作成に着手した。
手にはシャーペンと消しゴム、スチールデスクの上にはA4用紙とサイコロ。
いける予感しかなかった。
☆☆☆
皆様、こんばんちわ。
キミサガでお馴染みの皆様、いつもお世話になっております。
芋つき蛮族です。
今回は前回から引き続き、TRPGのお話。
早速いきます。
☆☆☆
日曜の朝。
私は無事、父の仕事場である事務所をジャックし終えていた。
広々とした室内には巨大なテーブルが一つ。
ミニサイズの冷蔵庫もあり、手洗い等へのアクセスも容易。
テーブルの上には、ペットボトルドリンクに紙コップとお茶菓子の山。
キットカットと午後の紅茶は外せなかった。
チロルチョコは争奪戦が起こるので除外した。
「おっじゃましまぁす」
「ちっす」
「芋つきさん、お疲れさまです」
「失礼しますー」
時刻は午前9時。
ほぼ時を同じくして、プレイヤー諸君……つまりは私の友人たちが姿を現していた。
皆、歴然の兵である。
私の遊び仲間という意味でだが。
というか、休みの日になるたびに遠く離れたゲーセンにチャリで乗り込んでた我らには、集合時間としてはやや遅いぐらいだった。
「まずはキャラ作成からでしたよね」
「だねー。このキャラシートに名前とか性別とか書いていって。ステータスは固定ポイント消費の割り振り型。
「筋力全振りとかでもいいのか?」
「攻撃当たらないとかでもいいなら、全然オッケー。武器防具の性能と価格はこっちの紙に書いてあるから買っておいて。食料と宿代に少し残しておくの推奨」
「ルールにアイテム、魔法、技表……全部手書きかこれw コピー代だけでも結構いってね」
「ポテチある?」
五人でワイワイとテーブルを囲んで、まずはキャラ作成。
以下はざっくり解説。読み飛ばしてもなんら問題ありません。
☆☆☆
ステータス成長度。先に記述のある能力値ほど伸ばしやすい。
「ヘヴィーウォーリア」
筋力・体力・器用・反応・敏捷・精神・魔力
「ライトウォーリア」
反応・敏捷・器用・筋力・体力・魔力・精神
「フィストウォーリア」
体力・敏捷・反応・筋力・器用・精神・魔力
「シーフ」
器用・反応・敏捷・筋力・体力・魔力・精神
「メイジ」
魔力・精神・敏捷・器用・体力・反応・筋力
「プリースト」
精神・魔力・体力・筋力・敏捷・器用・反応
「メイジウォーリア」
魔力・筋力・反応・敏捷・器用・精神・体力
「プリーストウォーリア」
精神・体力・魔力・筋力・反応・器用・敏捷
下2職は尖った伸びは見せないが、総合的にはかなり伸びやすい。
メイジウォーリアは紙装甲アタッカー。
プリーストウォリアは自己回復タンク。
セブンフォートレスにおける勇者「エクセレントウォーリア」は不採用。
フィストウォリアは格闘戦特化前衛。
☆☆☆
↓属性と魔法・技への得意行動ボーナス。単一だと補正大
「地」防御
「水」回復・防御
「火」攻撃
「風」回避・命中
「氷」攻撃・回避
「雷」攻撃・命中
「光」攻撃・回復
「闇」防御・攻撃
☆☆☆
当時のルール表を元にこうして羅列してみると、相当にめちゃくちゃだったことが良く分かる。
「決めること多くね。一長一短で悩むわ」
「反応って命中、回避両方と行動順にも関係するのか。伸ばしにくいとはいえ、重要すぎないコレ」
「うーん、お金少ないなあ。振り直しありですか?」
「コーラある?」
やいのやいのと言いつつも、四人それぞれにキャラシートへの記入を進めていく。
ここで手間取ったのは外見枠。
無駄に拘りがあるようで難航していた。
一人は対戦格闘ゲーム「ヴァンパイア」のモリガンまんまの顔を書いてたが。
「出来たぞ」
「別キャラも作っていい? 好きだわコレ」
「え、
「お金使い切った」
雷属性のメイジ。唯一の女性キャラ。
風属性のライトウォーリア。朝からウチの犬にめっさ吠えられてた。
水属性のプリースト。一般的なTRPGの予備知識あり。
地属性のヘヴィウォーリア。モリガン面の性別男。
四人分のキャラシートが埋まった。
一枚目の。
「オッケー。それじゃ……皆で魔法と技。作っていこうか」
そう言って私は二枚目のキャラシートを彼らに差し出した。
☆☆☆
そもそもが、である。
私は遊びたくてたまらなかった「発売前のセブンフォートレス」のシステムの中には、これだけは遊びたい! というものがあった。
「魔法」や「剣技」「闘気法」といった技の自作ルール。
RPGマガジンのリプレイにおいて、多くのキャラが専用技を炸裂させまくっていたその背景にある、バランスなにそれ美味しいの的なロマン全開のルール。
それこそが、当時の芋つき蛮族くんを魅了してやまなかったのだ。
「サンプルの魔法、剣技はこれね。今回フィストウォーリアはいないから、闘気法はなし。そのまま属性ボーナスだけかければ使い物になる感じに組んではあるよ」
A4用紙の束を渡されたプレイヤーたちは困惑しつつも、すぐにそれに魅了された。
攻撃・回復、バフ・デバフ。
魅力的なものは山ほどある。
効果を増すごとに習得ポイントは嵩む作りなので、多彩な技を持つものは一撃の重みにかけるが、逆もまた汎用性に欠ける仕組みになっている。
前述の属性ボーナスの関係で「火属性なら攻撃・攻撃バフオンリー」「水属性なら回復と防御中心」といった選択がベターといった次第だが……
「なあ、芋つき。この『接近制限』ってなんだ?」
「ん。それは魔法の射程が0になる代わりに命中とか威力をあげられるようになる」
「剣技・闘気法の射程追加っていうのは? 単純に飛び道具みたいになるんですか?」
「習得ポイント注ぎ込んで増やせばそう。威力、命中を落とせばそれで伸ばすこともできるよ。魔法も追加で射程伸ばせる」
「反動ダメージと命中ダウンつけて威力アップとか、使いにくいけど当たるとデカイな。先に命中バフ必須だろうけど」
「それもいいけど。デメリットある技でそこそこの性能に抑えておけば、種類も多めに取れる」
デメリットの付加による、メリットの取得。
それによる、一癖も二癖もある必殺技の所持。
そのシステムがメンバーのキャラクリ魂に火をつけた。
「よし。雷近接高命中魔法が完成したぞ。ほぼ固定ダメで堅実に削れる。ガード不可っぽくな」
「格ゲーのコマンド投げかよw あー、おれ対空技作ろうかな。技名は昇龍剣」
「射程0の回復ならローコストでいけるよ。ほぼ自分専用だけどね」
「バリアの持続ターンなしは先制してる時は強そうですね。攻撃こなかったら泣くし、プリーストだと先制ほぼ無理かもですが」
「冷やし中華食べたい」
次々に生み出されてゆく技の数々。溶けてゆく時間。
朝方から集まったというのに、もう昼過ぎである。
HUNTER×HUNTERに制約と誓約という念能力の強化・設定ルールがあるが、イメージ的にはあれに感じに近いだ。
というか私は念のルールを初めてみたとき、セブンフォートレスの技作成ルールが頭を掠めて仕方がなかったクチであるw
ちなみに自作ルールを含めて、ゲーム全般のバランスは感覚でサクッと決めていた。
そんなアバウトなことしてどーすんの、と思われるだろうが、私がパク……じゃない。
どうしても模倣してみたかった、セブンフォートレスTRPG。
実は商業化されていなかっただけでなく、詳細なルール説明や行動判定の処理などが、PRGマガジンのリプレイ中に記載されていなかったのである。
記憶違いでなければだが。
おそらくこれは手抜きなどではなく、「まず読者にTPRGの楽しさを知って欲しい」という主旨の元、ノリと勢いに全振りした表記法を採用したのだと推測している。
単に売り物でもないゲームを事細かに説明するの面倒という理由で、そういう形式だった可能性も捨てきれないけど。
とにかく、そうしたやむにやまれぬ事情もあり。
私としてはリプレイの会話、結果、リアクションからなんとなーくでそれらを真似してみるしかなかったのだ。
……そんなこんなで、作成ルールとにらめっこしつつ、全員が準備を終える頃には。
時刻はもう午後三時を過ぎていた。
ついでに言うなら私は完徹だった。
☆☆☆
続きます❤️
本日も貴重なお時間をさいてお読みいただき、ありがとうございました。
『ちょっとクスッときたり、今回は良かったなと思って下さった方へ』
キミサガ共々、☆評価・応援よろしくお願いします!
それでは皆さん、サヨナラ、サヨナラ!
こちらは自作品の宣伝です! ☆がほしー! いやホントまじでw
『君を探して 白羽根の聖女と封じの炎』
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