紆余曲折の投稿開始へ


「ああ、そっか。応募用じゃなくて、私が楽しめる小説を書けばいいんだ」 


 こうして私は『君を探して 白羽根の聖女と封じの炎』を書き始めたのだった。

 

 ☆☆☆



 皆様、こんばんちわ。

 キミサガでお馴染みの皆様、いつもお世話になっております。

 芋つき蛮族です。

 

 さて、「書くのは好き。だから自分が楽しめるものを書こう」という結論に辿り着いた私。

 なにはともあれノートPCと向かい合って、セコセコ話を書こうとし始める。

 

 しばらく応募の為には書いてなかったが、手癖でササッとプロットらしきものを書き殴ってみる。

 登場人物、世界観、ストーリー、章構成――


 最後の部分で、手が止まった。

 章構成。

 それまで新人賞に応募あたって、私が一番苦手としていた部分だ。


 私は話を簡潔にまとめるのが、とにかく下手だ。

 一つ一つのシーンを書くのに無駄に描写を長くしてしまったり。

 すんなりとストーリーを進めらずに文字数をかけてしまったりと。

 そういったことが、自分でも笑ってしまうほど苦手なのだ。

 

 しかし今回手が止まった理由は、別の部分にあった。

 章構成で手が止まる。

 それは今まで特になかった経験だ。

 だっていくら長文になってしまうといっても、章構成の時点では簡単に流れを決めるだけ。

 なので、ここで詰まることは記憶になかった。

 アイデア出したあとの割り振りだったからね、私の中の章構成って。

 

 さて、ここまで読んでもらい、懸命な読者の皆様はもう気付かれただろう。

 そう。

 なにを隠そう、私はお話の作り方の基礎を知らなかったのだ。

 起承転結で考えるべき話の構成を、単に全体のペース配分として「章構成」だなんて言ってたのだから笑ってしまう。

 

 そんな私が「応募用でない小説」を書こうしたのだ。

 応募用の作品には、当然ながら規定条件がある。

 ジャンル、期日、書式……今は色々と違っているのだろうが、当時の私はそれを守って応募していた。

 

 その中の条件の一つが……とにかく私を苦しめた。

 それが「文字数制限」である。

 

 うん。まあ当然だよね。ないと困るよね。

 たまに異常な量のが送られてきたりとかマジであったらしいけど。それも紙で送る時代に。

 

 ともあれ、私が応募用に一本書くと20万文字オーバーとかザラだった。

 それも10万上限とかで。

 なので、いったん書き上げたらとにかく、削ぎ落した。

 当然まとめる力がないので、減らすのも苦手。

 小説を書いている間は苦しくも楽しいが、制限に合わせるためにそぎ落とすのは苦痛以外の何者でもなかった。

 新人賞に応募をやめた遠因だったかもしれない。今思えばだけど。

 

 で。

 聡明な芋つき蛮族くんは、ついに気づいてしまったのだった。

 

「あれ? 応募しないなら、文字数制限とか気にしないでいいんじゃね! 章構成とか、気にせず好きなだけ書いていいんじゃね!?」 

 

 いいわけなきゃだろ、このタコw

 ダラダラ書くだけでまともな小説書けるだけの能力あるなら苦労せんわ。

 書いてて自分で恥ずかしくなってきた。

 

 でもまあ、その時の私はめちゃくちゃ嬉しかったんだよね。

 これで思いついたもの全部書ける、好きな話思いきり詰め込めるって。

 そして思った。


「よし! この話は最高の話にしよう! 私の好きなものだけ書こう! それでいいんだ!」


 そして私は執筆作業に取り掛かった。

 

 秒で止まった。

 

 いや本当に、冗談ではなくて。我に返ったんですよ。

 

「自分にとって、最高の話とはなんぞや?」となったことで。


 ☆☆☆

 

 それまでの私には小説を作るときは「これを書けばいいかな」っていうものがあった。

 流行りだったり、私にとっての奇抜なアイデアだったり、強烈なキャラだったり。

 それが新人賞に応募に際して武器になり、受賞への足掛かりになると思っていたからだ。

 

 結果は別として、迷いはあまりなかったんだよね。

 次々試したことのない組合わせて話を作って、書き上げる。

 中身はともかく、今回はこれでいこう! っていう形をつくることは出来ていた。

 

 でも、いざ自分向けに書くとなると……これがさっぱり形にならなかった。

 それは私が本当に書きたいものがなかったから、とかではなく。

 逆に、自分向けに最高のお話仕上げるとしたら、それは現状不可能だろうと思ったからだった。

 

 だってねえ。

 あるじゃん、世の中にはめちゃくちゃ面白い作品がいっぱい。

 ラノベだけに限定しても山ほどあるのに、そこに漫画アニメゲームと周囲を見回したら……

 いや無理、そういう物を越えて自分向けに最高の話を作るとか(ヾノ・∀・`)ムリムリってなるわけですよ。

 

 だから秒で止まった。

 このままじゃ勝てねえ。世の中の面白いお話に勝てねえ、となった。

 

 そして私は再びノートPCと向かい合い、ウェブブラウザを立ち上げて検索欄に打ち込んだ。

 

「ライトノベルの書き方……は、っと」 

 

 結論、世の中には親切な人が沢山いた。

 

 ☆☆☆

 

 起承転結を意識する。

 そういやラノベ以外でも色んなとこで言われてましたね。

 他にも色々あった気がするけど、そこだけは覚えています。私、有能なので。

 

 さておきこれで武器は揃った。

 話を作る手順さえ分かれば怖い物などなにもない。

 芋つき蛮族くん、石斧片手に完全武装である。

 我々には起承転結があるのだ!


 私は意気揚々と創作を開始した。

 その時点ではタイトルどころかジャンルすら決めずに。

 

 自分にとって最高の話にする。

 となれば、まずは主人公、そしてヒロインの設定からに決まっている。

 これから長い付き合いになる相手だ。

 長所短所含めてこの二人だけはガチで好みにしたかったし、した。

 

 そうして『君を探して 白羽根の聖女と封じの炎』に登場する二人が生まれた。

 主人公のフラム・アルバレット。

 ヒロインのフェレシーラ・シェットフレン。

 あと一匹なんかいるけどそれは書きながら決めた。すまん、ホ〇ラ。

 

 次に決めるのはジャンル。異世界ファンタジー一択、はい決まり。

 主人公転生なし、チートスキルなし、ハーレムなし、ハッピーエンド、ボーイミーツガール。

 サクサク決まった。

 流行り物を読むのは好きだが、根っこはいまだジュブナイル小説大好き野郎である。迷いようもない。

 でもなにげに一人称視点は初挑戦。

 

 魔法体系に、種族設定。大まかな大陸図に国家設定。

 ざっくりと決めつつ、細かに思い浮かんだ物はメモとして残しまくり。

 メインキャラ周りの人物関係、物語以前のストーリーも軽く書き記してから。

 

 とある切っ掛けも手伝う形で、私は一気に書き始めた。

 

 ☆☆☆

 

 仕事を終えて帰宅して。

 あれこれやっても、まとめて取れる時間はそこそこあった。

 特に期限や目標があったわけではないが、一日平均でどれぐらいかけているかは気になった。


 内容重視、納得がいかなければ書き直し。

 そう思い書き始めたが、意外なほどに書き直しは少なかった。

 細かな手直しはするが、それは誤字脱字のチェックを兼ねて程度のもの。

 以前は遅筆な方だと記憶していたが、合間の時間で一日2,000字は楽にかけた。

 

 とにもかくにも、書くのが楽しかった。

 しかし一日3,000字となると、日によっては厳しい。

 ゲームも殆どしなくなり、小説漬けになっていた。

 一番の敵は睡眠不足だった。

 早寝早起き。

 夜少しでも長く書いていたかったが、結局はそれに落ち着いた。


 そのうちに、早起きした日は1,000字ほど書いてから出社するようになっていた。

 曲がりなりにも働きながら、一日3,000~4,000字ほどを積み上げてゆく。

  

 そんな日々が暫く続いた。

 

 ☆☆☆

 

「いいんじゃないスか。俺はいいと思いますよ。自分、ラノベとかあんまり読まないスけど」

 

 人間とは欲深い生物ある。

 気づけば私はノートPCを抱えて、かつてのモンハン仲間の家を訪れていた。

 

「動いてるところで見てみたいですね、やっぱ。アニメで」 

 

 そこそこ年の離れた友人にそう言われて、悪い気はしなかった。

 一週間に一度、書き溜めた小説をその友人に見てもらう。

 

 イマイチなところはイマイチ、良かったところは良かった。

 ストレートに伝えてくれるのが嬉しかった。

 

「ネット投稿とかしないんスか」 

「いやぁ、読んでもらっておいてなんだけど、自分用で偏りすごいからね」 

「いけると思いますけどね。芋つきさんの小説、面白いし」 

 

 とてもありがたい友人だった。

 しかし彼は、そう間を置かずに多忙の身となった。

 

 私は再び、一人で小説を書き始めた。

 

 ☆☆☆

 

 しばらくして、私はあるゲームを始めた。

 ソシャゲだった。

 幻想的な絵とキャラクター、雰囲気をもったそのゲームはいい気晴らしになった。


 ギルドがあったので、軽い気持ちで入ってみた。

 紆余曲折、三つ目のギルドで腰を据えて遊ぶことにした。

 ギルマスはちょっと変わり者だったが、頭も切れるし、なにより器のある人だと思った。

 

 他のゲームでは中々経験出来ない要素もあり、小説を書く上でいい刺激になると思った。

 暫くはこのゲームをしながら、小説を書いていこう――

 

 そんなことを考えていた私に、ある日ギルマスが突然こう言ってきた。

 

「〇〇。お前、指揮してみろ」

 

 そのゲームは、リアルタイムGVG……

 所謂ところのギルドバトルをメインコンテンツとする、対人ゲーだった。

 

 ☆☆☆

 

 一年が過ぎた。

 色々あった。ありすぎた。色んな人にお世話になって、迷惑もかけた。

 なにより只管、毎日が多忙だった。

 小説を書く手はピタリと止まっていた。

 

 たかがゲーム、されどゲーム。

 拙いなりに最大50人からなる集団戦の指揮役となり、個別で指示を飛ばして結果を出していくのは、楽しかった。

 ただ……やっぱり私は小説も書きたかった。

 

 今だからこそ言うが、書くためにゲームをやめることも考えた。

 というか普通に考えれば、それが本気で書く上での最低条件みたいなところはあるだろう。

 私はとにかく、嵌るとなんでも全力でやらないと気が済まないタチなのだ。

 

 ギルバトもそれだけやるなら、一時間にも満たない。

 時間拘束があるにしても切り出してみればそれだけだ。

 でも、やるなら下調べから連絡から、なにからなにまでやらないと気が済まない。

 加減を知らないアホなのである。当然時間は溶けた。

 

 このままでは小説を書く時間が取れない。

 そう思い、私はギルマスに告げた。

 

「小説書きます」

「ギルバトもやります」 

「両方やります」 

 

 だって両方面白いだもん。仕方なし!

 ていうか、無理かどうかはやってから決めればいいしね。

 

 ☆☆☆

 

 とはいえ、ギルバトに関してはかなり他のメンバーさんに助けてもらうようになった。

 時間的にも気持ち的にもかなり楽になり、余裕も出来た。

 毎日リアタイ参加は変っていないし、変える気もないが。

 

 亀の歩みながらも、執筆の方も再開。

 随分と書くことから離れていたので、まずは既存分の校正作業を兼ねて読み返しをする日々。

 

 そんな中、別口で知り合った友人にひょんなことから小説を読んでもらうことになった。

 そしてこう言われたのだ。

 

「これカクヨムに投稿してみれば? いい線いけると思うよ」

「マジで!? 出す出す!」


 言われて嬉しくないはずがない、この一言。

 最初はノリでそんな返事をしていたのだが……

 

 結局ここから、私のカクヨム挑戦の日々は始まったのだった。

 

 ☆☆☆

 

 長くなったけど、これが私のカクヨムでの活動開始までの流れでした。

 ギルマスの無茶振りのお陰で、今も貴重な経験をさせてもらっています。

 ただ勿体つけてないで早く私の小説を読みに来いwww

 ☆3よこせー!w

 


 初回の半端さの埋め合わせ、日曜効果で追加いってみました!

 次回からはカクヨムでの出来事も織り交ぜていく方針。


 本日も貴重なお時間をさいてお読みいただき、ありがとうございました。


 それでは皆さん、サヨナラ、サヨナラ!



 こちらは自作品の宣伝です

『君を探して 白羽根の聖女と封じの炎』

 https://kakuyomu.jp/works/16818093085888298321  

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