【閲覧注意】05 聖夜の奇跡(鈴木 縁視点)
※残酷な描写・死の描写があります。ご注意ください。
社会学校のイメージは、ドラマとか
でも、
わたしたちを
「廊下は
こちらへどうぞ」
椅子に
「
なーんか、
でも、わたしたちは、面会希望者控室へ
面会室「青空」に入ると。
パイプ椅子が
わたしたちは
ここまでわたしたちに
シュンシュンシュン。
シュシュンシュンシュンシュシュン。
こちら
さっきまで、
あちら側には、パイプ椅子が三脚だけ透明
あちら側の
作田君が
もう、会ってもいない
わたしは、邪魔な
何だか、ついてきちゃって悪かったな……。
でも、小船さんが転校してから、どこにいるかわからなかったままだったから。
まあ、これで、一件
それを
「……
ベッドのまま、面会室へ連れて来られた。
手足はもちろん。
首から上も、目も口も動いていない。
人形と同じツルツル、スベスベした
「あっ、……
どこからか、
「青良、人形
「……ごめんなさい。
わたしがいけないの。
ちゃんと、
わたし、子どもだった。
小学校
温君、こんなところまで会いに来てくれてたのに。
ごめんなさい」
やっぱり、
これは
「青良は
「「「「「……」」」」」
誰も、
「青良。
迷声が
「……でも、わたしの魔術の
お父さんのせいで……
「
家を
ペットシェルター
作田君が「青良は悪くない」を
「それでも……わたしがちゃんとお父さんと話し合っていれば、こんなことにはならなかった」
「いいや、それは
ごめんね、話に
青良さんに
人形はね、青良さんのお父さんが
お父さんは人形を
青良さん、
「はい、鹿山先生。わたしは何度も、
「青良さんのお父さんのほうのおじいさんの
人形の発生
……まあ。
なーんか、小船
不倫
月明地区へ
不倫する相手を
その不倫への
わたしたちにそんな話を聞かせなくても良いのに。
でも、これも「
「青良さんは教育
子どもの
組石市内の大きな病院での受診を
そう。
青良さんの自立の
二歩目は、
でも。
「お
お
わたし、ここへ来てから、ずっと
こんなかわいそうな
また、作田君は
「青良さんのお父さんの
これは
分身体だから、
「……」
「そして。お父さんとの離婚が成立したお母さんがね。一度は親
お母さんは今、
「……どちらとも
まあ、そう
うん、うん。
両親どちらとも、というか。
お父さんと暮せないからって言っても、お母さんと暮すのも
だって、そもそも
わたしは小船家の詳しい話を知らないから、適当に思っちゃうけど。
どうして、青良さんのお母さんは、青良さんを助けてくれなかったんだろう?
不倫でも
全てが無意味。
お母さんがもっと早く、離婚を
「いいや、延長は出来ないんだ。
ただし、君はね、お父さんともお母さんとも暮らさなくて良いんだよ。
児童
グループホーム。
人形化現象の療養が
あっ、
「
「うん……あの『
「
まあ、その暴れ子牛が玉浜先生を
あまり
玉浜先生は、施設
「青良さん、
白梅ノ社会学校は
そこからは
でも、本
まあ、でも。
魔術の礎を取り戻せれば、療養施設へ移れるのかな。
何か、その
それから。
作田君が
学習
「あっ、白梅ノ声も書初めがあるはず。
わたしは手が人形の
お習
「メリークリスマス」と、作田君が小船さんに
でも、透明板があって、越えられない。
「
「もう、
こうやって、面会に来てくれた。
それがクリスマスプレゼント……作田君?」
鹿山先生も作田君をなだめようと、作田君に
やっぱり、あの音おとと》が
作田君の
「ギプスマン」だもん。
ゴド。
ピキ。
メキ。
パキパキパキ。
「作田君?
どうしたの?
魔術を使ったの?
駄目だよ!作田君はまだ小学三年生なんだよ!」
ベッドに
「青良さん、普通に
「え?」
そう、
「……ッ」
「
さあ、組石に帰ったら、
帰りも
白梅ノ声社会学校正門外の「
一時間、高速バスに
そして、
銀駅には、
そういえば、
作田君を見かけて、声をかけようとしたが。
「白梅ノ社会学校職員の松平です。この二人は、面会
あの警察官。年
子どもを見ると、
松平先生は二人分のホットココアを
「あそこに、
じゃあ、二人とも。
「松平さん、施設に戻らなくて良いんですか?
「うーん。
でも、事
今、銀駅から君たちの付き添いをしてくれる万堂さんとまず、合
ここは、
「はい」
あっという
「どうしたんだろう?」
「さあ。
駅の中。
「作田君。
「……」
「これから、どうするの?
居場所は
結局、またすぐ別の場所へ移っちゃうんじゃない?」
「……あんまり、
青良の未来を
骨が
「……いつも、
「めざといな」
「一人の女の子を
この
わたしは
作田君は骨折になれちゃって、
ホットココアをグブグビ、
「これから
人形から人間に戻せた。
すぐに、
まあ、これっぽっちの骨折で
クリスマスプレゼント、とっておきだったんだろうな……。
「……もしかして!
青良さんには、会わないってこと?」
「
『魔術の礎喪失』も、それによる『魔術暴走』も
お別れは
何それ。
せつな過ぎる。
ハッピーエンドじゃ無いじゃん!
わたしは立ち上がって、作田君の
骨折
「痛いの、痛いの、
「そういうのって、遠くの山へ
「お
「うん、お疲れ様」
作田君も椅子から立ち上がった。
お
作田君の
そして、お互い抱き合ったまま顔を見合わせるように、
うーん。
別に
何か、学校
でも。
一瞬、
そう思ったら。
窓辺で抱き合っていたわたしたちをジーッと見ていた周囲の人たちがこう言った。
「今、誰か
「キャーッ」
「子どもが飛び
未来を変える魔術は存在しても、「特別な過去」を変える魔術は存在しない。
魔術って、その
その程度でおしまいにしないと、駄目なんだと思う。
世界自
魔術。
人には越えられない
わたしは、窓から出来るだけ離れた。
作田君が
ココアの
そこへ、
「
国立社会学校職員は
松平先生と万堂先生がお
でも、二人のコート。どんどん、どんどん、全体が
「
「
俺、駅員さんに呼んでもらいます!
「
松平さんも、あの
「万堂先生」
ぐいっと、わたしたちは万堂先生と松平先生に
その際。
万堂先生に、
「君たちが抱き合って
よく
聞き
転移後。
おそらく、組石市方面へ向かってる列車内で、松平先生たちの指示通り、指定
一人、先に転移していた迷公社職員さんに。
「さきほど、
松平先生と万堂先生の転移合わせ
わたしは松平先生と万堂先生のコートをそれぞれ
「やめなさい。
二人同時も無理だ。
医療
「もう、
最年少
「いつ?
万堂先生、知ってたんですか?」
「知らないよ……ったく。
「大学病院に入院中に取れました。
未来改変のような時間
わたしは一瞬で、リュックサックから
リクライニングをめいいっぱい使って、座席を倒して。
わたしは二人に魔術をかける。
「
棺の
死に
生
人体
一瞬で、高速で、
その
列車の窓がくもっていく。
外は
ふらつきながらも、
窓側の席には、作田君が「俺の骨も
キーーーーッ。
ガガガガガガガガッタンッ。
「
「
わたしたちの
そりゃあ、かなりの
すぐに車内が騒がしくなる。
黒づくめの怪しい人たちが車両の前と後ろからやって来て、通路をふさぐ。
この車両は、乗っている人が
……え?
わたし?
わたしを見下ろす、黒ずくめの男の人がわたしに
「鈴木さん、ご同行願います」
「任意なら、
この二人に
「国家
「この子たちを利用したのは
国は無関係でしょう」と松平先生が割って入る。
「
『四人で仲良しこよし』では、今の組石市に戻られては、
それに」
何だか、もったいぶる怪しい人たちだな。
いきなり
おそらく、この緊急停車も、この人たちが起こしているんじゃないか。
「我々には、小船 青良を再生する
小船 青良は、
酷いことをする……。
でも、
そうまでしないと、
……
「作田君。
あれのどこがクリスマスプレゼントなんだい?
中途半端な未来改変なら、しないで欲しかったな」
「彼は成功したはずです!
心音だって、あったはずです。
だから、血の
「そうだ!
俺は心臓を
「子どもの心臓を未来から
いつ・どこの未来の、誰の、心臓かはわかりません。
人形の心臓と子どもの心臓の
中途半端なら、元に戻すのが一番です」
「俺は成功した!
元になんか、戻すな!」
「作田君は
黒いロングコートの男がわたしを見つめている。
そして……。
「我々内閣府を信用出来無いでしょうから。
鈴木さんに人体再生の学習をさせましょう。
内閣府の
ご
……作田君がわたしにすがるように見つめて来る。
でも、わたしは、そんな秘伝の魔術を
「
しかし、公社立と国立は、それではいけません。
『きちんと正しく使える魔術師』を育
しかし、今日はクリスマスイブ。
内閣府職員の中にも、浮かれた
そいつが、『危険な国立社会学校生』の
児童
さらに、自分の意中の相手『鈴木 縁』の任意
テロを起こしたときもストーカー
「医師の死亡確認がそろそろ
「でも、皆さんは、心
小船 青良さんを助けたいでしょう?
内閣府は、みなし公務員を殺傷しようとするような、『
「転
国
組石市の
良いですか?
日本で
しかし、国家転
松平先生がわたしの両
「骨が
彼等を害するなど、日本の国
余計なことをベラベラ言う人だな。
せっかく、
「鈴木、人体再生出来るのか?
さっきのは、
「作田君が『
世界は作田君を
かわいそうに、鈴木さん。
作田君のせいで、
「
私、内閣府職員、
たまたま、国立献原社会学校に
さあ、
「
不正受験では無いが、『小船 青良の
手っ取り
今後、鈴木 縁は迷公社が保護する」
「当たり前でしょう。世界が『それ』を
「だとしても、彼女はこの世界に生まれて来た、普通の女の子だ」
「迷公社は、日本内閣府に反して、この反社会問題を先
「いいや。
我々迷公社は世界を正す。
彼女を一人ぼっちにはさせない」
万堂先生が門橋さんと言い争って、……その、
わからない。
「そうそう。
人体再生士は鈴木 縁さん一人ではありません。
国家試験の合格者数は毎年全国で、二十名前後。
我々公社立白梅ノ声社会学校は、小船 青良を
そうですね。
鈴木さんに関しては。どうぞ、お好きになさってください」
「あの
俺は知ってる。
木目の王国にも、人体再生士がいる。
あの
でも、人体再生士の資格を持っている細川先生よりも、鈴木の方が
俺は鈴木に!
青良を
「……いいや、それは違うよ。
作田君。
迷公社は、
白梅ノ声社会学校の校長が小船 青良の国立社会学校への即時転校を
小船 青良の再生は、勝手に作田君がやってしまえば良いんだろう。
もう、迷公社は小船 青良に関わって、かなり損
もう、あの子を普通の子どもとして更生させる気も無くしてしまった。
「御前たちは、何が起きているか。
何も知らないのに!!!!」
作田君が
途端に、作田君は声にならない
内閣府職員が
「鈴木 縁さん。
これが最後の
本当に、我々内閣府と共に、小船 青良さんを人間に戻そうとは思いませんか?」
最後まで残っていた門橋さんはわたしを
「……何で、何で、子どもにばかり、お願いするんですか?
大人なら、大人にお願いしてください!……」
頭がクラクラする。
無理をし過ぎた……。
わたしはもう、いっぱいいっぱいだった。
「では、これを。
音声通話で聞こえるように、通信端末をイジりました。
来年は別の音になりますから」
<……ドッドッドッドッドッ……>
門橋さんの通信端末から聞こえて来た。
嗚呼、思い出した。
わたし、知ってる。
台座大学の病院で、いろいろな精密検査をした。
そうそう心臓の検査で、自分の心臓の音を聞いたんだ。
この
でも、気味の悪さも感じだ。
冬休みが始まって。クリスマスイブに、わたしは作田君とデートをした気分になっていた。
でも、それは違った。
松平先生はまだ組石
お父さんとお母さんとわたしは、組石市のお隣の千家市の魔術事件・事故被害者家族支援施設「窓
今、迷公社千家支社の支援で、市内で新居を探している。
お父さんはそもそも、千家市まで四十分の鉄道通勤していたので、困っていなかった。
お母さんもルールが
二人とも、わたしが大学病院に入院するくらい、酷いケガもしたから。
まあ、「
木目の王国の子たちにも。
楓池小学校三年一組の皆にも。
お別れは言えなかった。
もう、会って話すのは「やめましょう」と迷公社組石支社の社長との面会機会があって、忠告を受けて居る。
いつ、兆部家が因縁をつけてくるかわからないから。
作田君のお母さんは息子を「国立矯正施設」へ入所させられて、パニックを起こしたそうだ。
とにかく。
わたしはもう、組石市には行けない。
だから、わたしはこのまま、新生活に早くなじむしか無い。
二日に一回。
万堂先生が窓明の家に遊びに来てくれる。
そして、
「良かった。
取られていないのはわかるけれど。
でも、どうしてもね……」
万堂先生は
嬉しい気持ちなんて、良くない。
こんなことで、
◇◇◇
万堂先生はそれから、クリスマスイブになると。
わたしと過ごしたいと言うようになる。
万堂先生が
わたしたち三人は門橋さんから、
一年後、わたしは小学四年生になっていて。
また、一年後、小学五年生で。
そのまた一年後、小学六年生。わたしは私立中学校受験をすすめられて、
万堂先生は、トイレ休
まだ、子どものわたしの心臓は、小船 青良さんの心臓の
「ごめんね、
背負わせてしまって、本当にすまない」
万堂先生がクリスマスイブだろうが、何だろうが。
わたしの顔を見る
大人って、いつからなんだろう。
小学校を
高校生になったら、バイクの
それよりも、中学校で義務教育が終わっちゃうから。そっちのほうが、やっぱり大人かな。
それとも、十八歳の誕生日って区切りかな。
でも、作田君。わたしの
さあ、もう教室に戻らないと。
まだまだ、受験勉強が続く。
「あっ、一応。
メリークリスマス、縁ちゃん」と
塾講師の先生たちからも
千家校塾長にも何か言われたみたいだけれど。
千家支社長の「保護対象の監
でも、すぐに事は動いた。
講習会中、突然、強大な魔術結界に囲われてしまう。
先生たちも塾生も一気に教室外に逃げ出す。
気を付けていても、気が
まあ、作田君のおまじない程度のパワーなんて。
あのおぞましい、兆部 毎日の暴力魔術に
それでも。
門橋さんに聞かされた、あの心臓の音をイメージする。
わたしは
もう、人間の
仕方がない。
わたしは左
緊急事態だ。
「触れた心音に
血が
命がこぼれ落ちぬように
人の
我が
目の前にみるみるうちに、本物そっくりな心臓が出来上がる。
わたしの体内魔水は
そして、出来上がったと思ったら。
誰かさんの
「まあ、一回は『してもいない約束』を
メリークリスマス、作田君」
わたしは
結界の外では、万堂先生が
わたしに
でも、その声はわたしに届かなかった。
◇◇◇
あの年のクリスマスイブ。
わたしは。
千家警察と
自力で何とか指先の止血をしながら、何とか持ちこたえた。
あの
ただ。
念のために入院した病院で、三年ぶりに会った門橋さんに、「どうやって、生き延びれたのか教えてくれる?」と聞かれたけれど。
万堂先生が
まあ、このままでは万堂先生が逮捕されてしまうので。
結局、門橋さんの大ケガを、病
まあ、大変だったかな。
わたしの心臓は、万堂先生に守られて、動いている。
本物の心臓は
あの張子心臓がどうなったかは知らないまま。
わたしは大人になる。
迷の世界短編集 雨 白紫(あめ しろむらさき) @ame-shiromurasaki
★で称える
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