タイトル:『地獄奇譚』

【概要】

 構想開始時は2020年頃。和風ダークファンタジーを書いてみたいと思った。 

『自分が死ぬかもしれない危険性があるけれど、1度だけ死者に会うことができるという選択肢を提示された人間はどんな道を選ぶのか……?』

 という物語を書きたいというメモが残っていた。


【キャラクター】

 主人公:灯火(とうか)


 能力:彼岸の門(あの世とこの世を繋ぐ門)を開け、彼岸と此岸を行き来する力を持つ。モチーフは白蛇。白髪と赤い目。十三歳くらいの少年のような姿をしている。

 種族は人間ではなく、本来、現世に留まる怨霊や地縛霊をあの世に連れていくために彼岸の門を開く力を持って生まれ落ちた『御仏の遣い』。


 しかし育ての親・狼の影響で人間に肩入れして、人間のために彼岸の門を開く能力を使っている。


 武器:刀。銘は「蝋梅(ろうばい)」。育ての親の形見であり、怨霊を退ける力を持つ退魔の刀。



【主要な登場人物】


 依頼者:死者に会いたいと願う生者。各エピソードごとに異なる人物が登場。


 死者:依頼者が会いたいと願う故人。彼岸の中で再会する。


【その他の設定】


 彼岸の門:灯火は彼岸の門を開き、依頼者を彼岸へ案内し、護衛する役割を持つ。


 報酬:依頼者から受け取る報酬は「死者の思い出が籠った品々」。これを燃やして得た思念の香りを辿り、彼岸の中で目当ての死者を探し出す。


 灯火は、育ての親の「人の愛に触れて生きろ」という言葉に従っているため、人の愛や情念を目の当たりにして知ることそのものが灯火にとっての報酬であるともいえる。


 ◯物語の形式:一話完結型。エピソードで異なる依頼者が登場し、死者との再会と別れを果たすまでの物語が描かれる。依頼者と死者の関係や背景がそれぞれ異なり、感動的なストーリーが展開される(予定)。


【あらすじ】※各エピソードごとの概要。


◯エピソード1:「深山蛍蔓みやまほたるかずら


 依頼者:螢(ほたる)。明治時代の深窓の令嬢。

 対価:恋人の形見の着物。

 内容:死別した恋人に会いに行き、「愛しておりました。さようなら」と告げて別れることができる。彼女は後に別の人と結婚することが示唆される。

 花言葉は「深い想い」。


◯エピソード2:「桃色紫陽花ももいろあじさい」。

 依頼者:陽一(よういち)。6歳くらいの少年。

 大正時代イメージ。自分を産んだ際に亡くなった母親に会いたがった。母親に抱きしめてもらうことができた。

 父親が優しそうな女性と再婚することが示唆される。彼が大人になったら生みの母に抱きしめられた思い出を忘れてしまうかもしれないという悲しみを描く。


 花言葉は「元気な女性」「強い愛情」。


◯エピソード3:「あかね」。

 依頼者:重蔵(じゅうぞう)。男性。三十代。


 江戸時代。冤罪被害者を出してしまったのではと思い悩み、自分自身を責め続ける同心。彼は自分が担当した事件について、常に疑いと不安を抱えていた。彼は自分の過ちを償うために、他の同心たちが手をつけなかった難事件に挑戦するようになりました。彼は自分自身を許すことができず、常に自分を追い詰めるような生き方をしていた。結局冤罪だったのかどうかは明かされず、十蔵は苦しんだ(その末に彼が命を絶ったことを示唆する)。


 花言葉は、『誹謗』『不信』『媚び』『傷』『私を思って』


◯エピソード4:「月下美人げっかびじん」。

 依頼者:蝶子(ちょうこ)。女性。七十代。

 若くして亡くなった夫に会いたいと思った。若くして亡くなった夫に抱きしめられながら今までの人生を語り伝え、彼岸の中で亡くなり、魂になり、夫とともに極楽へ旅立っていった。


 花言葉:「ただ一度だけ会いたくて」「はかない恋」


◯ラストエピソード:「犬泪夫藍いぬさふらん」。


 狼(ろう)

 周りのものと異なる髪と目の色をしていたせいで迫害されていた灯火を拾い、実の子のように可愛がってくれた男。灯火は彼のことを育ての親だと認識して慕っていたが、死亡している。狼のむごたらしい死は灯火の心に傷を残した。


花言葉は「私の最良の日々は過ぎ去った」と「危険な美しさ」



【その他の設定】


 亡者:彼岸の中で依頼者と灯火を襲う存在。灯火は刀「蝋梅」を使ってこれらの敵を退ける。


 御仏の遣い:灯火以外にも存在する。灯火と同じく彼岸の門を開く力を持つキャラクターも登場予定(だった)。『死者と生者を会わせる』という、理に反した灯火の行いに苦言を呈する者もいる。


【何故執筆が止まっているのか?】


 仏教に詳しくない(致命的)。仏教をテーマに扱う以上勉強や調べ物は必ずしなくてはならないがそれを怠っている。怠るなー!


 仏教に関する造詣が深くないのも要因のひとつだが、灯火のエピソードが思いつかなかったことが根本の原因に近い。狼が何故死んだのか。そして、灯火の能力ならば狼に会いに行けて、いつでも会えるはずだが、なぜそれが出来ないのかを上手く思い描くことができなかった。


【総合評価】※あくまで私の主観です。


 執筆初心者にしては、一つ一つのエピソードを頑張って作ろうとしている気概は感じる。しかし、肝心要の灯火のエピソードがない(思いつかなかった)ため、頓挫するのも致し方ない気がする。


(良い点)

 『生者と死者を会わせる』というコンセプト自体には光るものを感じる。それぞれのエピソードも、時代や依頼者の結末も含めて全体的にほろ苦く、それなりにいい味付けである。


(欠点)

 灯火関連のエピソードやキャラクターが薄い。頑張って作り込むべし。そこを乗り越えられれば、作品全体の質を上げることができるはず。


 そして、灯火の掘り下げエピソードをラストエピソードに持ってくる構想だったようだが、構成を変更したほうがいいかもしれない。

 灯火と育ての親、狼(灯火の行動指針を作った人物)のエピソードを最初に持ってきて、灯火がなぜ『生者と死者を会わせる』という活動をしているのか明文化したほうが、感情移入しやすくなり定着率も高まっていいのではないか。


【この作品を完成まで持っていく気力はあるか?】


 今のところはないが、灯火のエピソードを思いついたら頑張ってみてもいい気はする。


【追記】


 メモを深く深くまで探ってみたところ、狼(灯火の養父)に対して、『灯火が此岸に連れ戻してしまった人。』というメモが残っていた。どうやら、灯火が死人の狼を此岸(この世)に連れてきてしまったことで、大きな問題が起こったらしい。それを灯火はとても後悔しているようだ、ということはわかった。


 ……どうやら当時の私は、そのエピソードを深掘りするまえに、プロット段階で気力体力ともに尽きてしまったようである。創作は体力勝負……!

 やはり筋トレ……! 筋トレはすべてを解決する……!


 (※今日も少し筋トレはしました。)

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