第6話 トイレと発する勇気

奈良までの道中、

高速道路のようで高速道路ではない、

ちょっと特殊な自動車専用道路で、

信号交差点もない、交差道路もない、無料の国道を行く。

特殊性は、サービスエリアが極端に少ない点でもある。


しりとりが盛り上がっているところだが、

女の子の一人が声を上げる。

「すいません、トイレ行きたいです。」


本来なら、こんなこと、女の子に言わせてはダメだ。

計画的にトイレ休憩を。

他のチームに追いつこうと、少し焦りもあったかな。

だが、この先、しばらく休憩処、サービスエリアはない。

紙の地図で予習済みだ。グーグルマップはないからね。


ただ、この辺り、旧道と並走していたりするのだが、

少し前に、『ドライブイン』の看板のある建物を見た気がする。


今の「道の駅」に相当するものが、当時は『ドライブイン』かな。

ただし、より小規模で、個人経営と思われるところも多く、

食堂があって、土産物も売っていて、トイレが借りられる、

せいぜい、その程度の施設であった。

だが、コンビニも今ほど普及しておらず、

出先で用が足せる、貴重な施設であった。


『ドライブイン』の記憶を当てにして、次のインターで下道に降りる。

旧道を戻って、、、やった、『ドライブイン』発見。


ところが、大喪の礼の日です。

お店は臨時休業!

駐車場でぐるっと回って、帰ろうとすると、

一角に、別棟のトイレを発見!

難を逃れる。ありがたや。


この日は、いずれにしても特殊な日ではあったが、

年中無休、24時間営業のコンビニのありがたみは、

まだまだ限られたエリアだけであった。

本当に、午前7時開店、午後11時閉店もあったのだから。






冷たい雨が、時折強く降って、

車のワイパーは全速力。

ワイパーのBPMがBGMとピッタリ合うと、手拍子で盛り上がる!


天気予報を見て、急遽カセットテープの選曲に入れた、

『Singin in the rain』は、

僕が英語でフルコース歌える数少ない曲のひとつ。

オペラ調で歌うと、、、、。

外した。引かれた。


意外と大好評だったのが、ラヴェルの『ボレロ』。

車のテレビCMで、

雨の中疾走するスポーティカーのスローモーション。

ホンダ、プレリュードの曲です。

CMの映像が、リアルと重なる。

激しい雨の中のドライブ、

このシンフォニー、おすすめです。


しりとりは、バックグラウンドで続いている。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

バブル期の学生はこんなことしてました。 ムーゴット @moogot

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画