飛行機のはなし

 観光地の解説を敢えて避けるスタイルで書いてきたエッセイ、最終話は飛行機の話しで締めくくりたいと思う。

 私の街から台北へ向かう飛行機はLCC(ローコストキャリア)である。LCCはサービスを簡素化して価格を抑えた航空会社。機内食がない、荷物の重量制限が厳しい、空港の空きを利用したフライトスケジュールなので深夜、早朝便が多いという特徴がある。


 コロナ明けに初めての海外旅行、その割になんとかなるだろうとあまり調べずに準備したことで随分損をした。重量制限があることを忘れて大きなスーツケースを持参したために、まずそもそも大きさが機内持ち込みアウト。預けるには追加料金が必要になり、これまた事前に予約していなければかなり高い。空港カウンターで八千円弱の料金を払うことになった。

 そして当然帰りも預ける必要がある。帰りはネットで預け荷物の申し込みをすることで五千円弱の割引で済んだ。自分が乗る便について調べることを怠けたために一万円強の出費となり、痛い勉強代になった。


 台湾旅行が楽しすぎて二回目の旅行に行くことにした。今回は荷物にお金をかけないようにとまずスーツケースを機内持ち込みにサイズダウンした。着替えも現地コインランドリー利用にして最小限に抑えた。さあこれで大丈夫・・・・・・と思いきや、一キロオーバーしていた。スーツケースを小さくした変わりに大きなリュックを背負っていったことが失敗だった。


 係員は重量を減らしてください、と言うが一キロ分すぐに置いていけるものなどそうそうない。私は慌ててリュックに入れていたパーカーを着た。これで300グラムほど軽量化。そこから移動中の暇潰しに持って来た文庫本、これが重いはずだ。本を置いていきます、と言って出した。預かっておいてもらうことはできないので棄てるということになる。それでもまだオーバーしている。台湾元の小銭がたんまり入った財布をポケットに入れた。まだダメだ。


「このカメラを首からかけます!」

「持ち込み荷物は三つまでです」

 チーン・・・・・・。

「仕方無いですね。でも帰国便のチェックは厳しいですよ」

 慌てる私に呆れた空港職員が数百グラムオーバーに目を瞑ってくれた。しかしてカウンターを堰き止めていた私はようやく解放された。帰りはお土産も買いたかったので、やむなく超過荷物料金をネットで事前予約した。

 LCCは重量制限が厳しい。荷物まとめが下手クソな私は三泊四日もあればすぐに十キロ越えてしまう。余計なものは持って行かない、洗濯は現地につきる。


 LCCのチェックインカウンターはいつも長蛇の列の理由が分かった。厳しい荷物制限に引っかかって私のように時間を取らせてしまうからなのだ。旅慣れていたり慎重な人ならそんなことはないだろうが、カウンターのところで荷物を開けてごそごそしている人は多い。


 LCCを利用するときは重量制限にお気をつけて。どうぞ良い旅を。

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台湾楽旅日和 神崎あきら @akatuki_kz

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