第27話 結婚式

 ビクトリアアグネス皇女とオリバー王の結婚式は、ローマムア帝国とスペイニ国の和平を象徴する重要な儀式として、二国の国境近くに新たに建設された荘厳な大聖堂で行われた。


 この大聖堂は平和への新たな歩みを象徴する場所として、両国の民が協力し、ビクトリアアグネス皇女の結婚式に向けて完成させたものだった。純白の石で築かれた外壁は太陽の光を浴びて輝き、その美しさと存在感は遠くからでもはっきりと分かるほどだった。内部は天井が高く、文化の融合を象徴する彫刻や装飾が空間を彩る。この彫刻には神話や歴史的な場面が刻まれ、両国の新たな未来を象徴しているかのようだった。


 祭壇へと続く長い通路には赤い絨毯が敷かれ、新郎新婦が歩む姿が際立つように設計されている。天窓から差し込む光がステンドグラスを透過し、壁や床に七色の光が踊り、幻想的な雰囲気を生み出していた。ビクトリアアグネスとオリバー王が誓いを交わすこの結婚式は、新しい未来を共に築くための神聖な儀式である。


 祭壇の前に立つビクトリアアグネス皇女の瞳は純白のドレスとともに輝き、喜びと決意があふれていた。最愛のオリバーと民の平和の象徴として結ばれることは、彼女にとって計り知れない意味を持つ。オリバーもまた、彼女の姿に心を奪われ、これからの人生で彼女を守り抜くことを強く誓う。


「この地に立つ新たな希望の証として、共に歩み続けることを誓います」

 オリバー王の言葉に、ビクトリアアグネス皇女もまたしっかりとその手を握り返し、未来への誓いを言葉にした。二人の手が重なる瞬間、民衆から自然と感嘆の声が漏れる。

 

 両国の騎士たちは整然と並び、オリバー王の前でひざまずいた。それぞれが剣を両手で握り、自分の前に静かに横たえ、頭を垂れる。その姿勢はオリバー王と新たにスペイニ王妃となるビクトリアアグネス皇女への忠誠と敬意を示し、この場で誓われる未来への約束に一層の重みを加えていた。剣が太陽の光を受けてきらりと輝き、広場の空気は厳粛さに包まれる。


 誓いの言葉が交わされ、指輪を交換した瞬間、大聖堂に鳴り響く鐘の音が式の完了を告げ、外に集まった民衆の歓声が波のように広がった。人々は平和と新しい王と王妃を迎える喜びを全身で表現し、その歓声は空高くまで届いた。


 結婚式を彩ったのは、ビクトリアアグネス皇女を象徴する特別なバラである。純白の花弁に金色の縁取りを持ち、青のアクセントが加えられたこのバラは、彼女の気高さと強さを表現していた。祭壇を囲む装飾や通路の両側に用いられ、光を浴びて金の縁が輝き、青のアクセントが神秘的な雰囲気を漂わせた。参列者たちはこのバラの美しさに息を呑んだ。


 ビクトリアアグネス皇女は、そのバラで作られたブーケを手に掲げ、民衆に向かって静かに語りかけた。

「皆が安心して暮らせる日常を、私たちはこれからも守り続けることを誓います。楽しく笑い合える豊かな国を築き、そこには理不尽な迫害も、差別も存在させません」


 彼女の言葉に応えるように、民衆の間から歓声が湧き上がり、平和と繁栄を祈る声が空にまで響き渡った。風に乗ったバラの香りが結婚式全体を包み込み、二国の歴史に新たな章を刻む象徴として、二人の愛と未来を永遠に語り継ぐものとなったのだった。





 •───⋅⋆⁺‧₊☽⛦☾₊‧⁺⋆⋅───•

 アレクサンダーの恋とか書くつもりでいたのですが、キリが良いので完結とします。思いついたら書くかも。お読みいただき、ありがとうございました🙇🏻‍♀️

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

私はいらない子 青空一夏 @sachimaru

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ