第2話
彼女は急に話しかけられても優しい笑顔で対応してくれた。そこで急に、電気が消えるように頭は真っ黒になった。話すって、何を?彼女と何をすればきれいになれる?あまりにも浅はかな私の行動に嫌気が差す。そういえば探究の時間に活動するグループを今日決めると言っていた。どのグループに入るか聞こう。思い浮かんだ瞬間にはもう口から出ていた。
突然こんな質問をされたことに少し驚きつつ答えてくれた。彼女は天体について調べたいらしい。簡単に理由も添えて、最後には元気のある笑顔でこちらを向いた。こんな綺麗でいい人ならばどんな人でも惚れてしまうだろうに。それでも彼女はよごれていなくて、純粋だった。温かい光が体を透けて通るように、彼女のきれいを作る何かが体を浸透していった。その美しさに見惚れる時間がもっと欲しかった。無情にも時は私を横目に過ぎていく。どうしたのって言われても、あなたがきれいだから見惚れちゃったなんて言わない。不自然に会話が続くのは避けたかったので一定のテンポで話をしていった。途中から居辛く感じたのは彼女のきれいさが私のきたなさを拒むからだろうか。チャイムがこの何とも言えない空間を絶ってくれた。席に戻って一息つく。さっきの疲れから解放されると同時によごれに侵食される感覚が戻って来る。
授業中は退屈な時間を過ごす。空が綺麗だとか、授業によって体感時間が違うことを不思議がったり、今日だけは少しだけ世界がきれいに見えた。追いつけないほど時間は早く過ぎ去って、気づけばもう二つの活動グループは決まっていた。天体班を決める番がやってきた。もちろん私はここで手を挙げた。わずかに心拍数が上がる。きれいなものに近づいた緊張だろうか。周りでは性欲とともに男女が話している。好きな人と一緒の班になれたらしい男子や苦手な人と同じになってしまい嫌な表情をしている女子。速い鼓動を聞きながらいろいろな情報が自然と入ってくる。彼女のほうを見ると友達と一緒に笑っていた。ふとこちらを向いて私と目が合った。にかっと笑った瞬間は心が温かくなったような気がした。その時からもう彼女のことを私の神様のような神聖なものだと認識していたのかもしれない。心の中で、何かが動いた音がした。
ケッペキショウ 夢星らい @mizunoKAGAMI
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