act.1 ファンタジー篇②
長々とした
「出だしはまあまあね。この調子でラストまで行くわよ」
先頭をずんずん進むハルヒの道程に従って、俺たちはひいひい言いながら後を追う。もっとも
言うまでもなく朝比奈さんに余計な
「まずは腹ごしらえよ。好きなもんを注文しなさい。軍資金はたんまりせしめたし、景気づけにパアッとやりましょ」
ハルヒが立ち止まったのは、ナントカ
「しかし時代考証のよく解らない町並みだな」
俺は鎧をガチャつかせながら辺りを見回した。
城を出てすぐの城下町は、文明レベルで言えば百年戦争当時のヨーロッパ大陸っぽい
そうして俺が描写能力の限りを
「ハーイ!」
だが、それも、
「今日のお客さんはラッキーよ! 飲み食いしたぶん、全部あたしが
と叫ぶまでのことだった。
「店の主人はどこ? とりあえずメニューに
ハルヒはずかずか奥のテーブルまで進むと、出てきた
「なにやってんのよ、キョン! みんなも! さっさとこっち来て座んなさい。前祝いよ、前祝い!」
いったい何を事前に祝おうというのか。そんな俺の疑問に対する答えは、
「…………」
立ちつくす俺の横を、盗賊に扮する長門が
「わあ……。すごいいい
朝比奈さんが形のいい鼻をくんくんさせながら続こうとして、
「わきゃっ」
マントの
「それにしても
古泉が朝比奈さんを助け起こして、俺に微笑みかけた。例によっての余裕をかましたニヤケ顔であり、長門の無表情も朝比奈さんのおとぼけさんぶりも部室で見るのと変化なし、ハルヒなんかは意味なし元気パワーをさらに加速させている感がある。何かに取り残されているように思っているのは俺だけで、全員この
「わっ、これ美味しい! 何の肉? マンモス? 今までに食べたことのない味がするわ。後で食材とレシピを教えてちょうだい」
テーブルに次々運び込まれる料理の皿を前に、すでにハルヒは
「あれのどこが勇者だって?」
俺は宝箱を
魔王退治の
「キョン、早く来なさいよ! この
ハルヒが
勇者一行が
それからどのくらいの時間が
どぶろくみたいな発泡酒をすっかりお気に
その横では長門が後から後から運ばれる
ぽろりろ、と
まあ別にいい、俺には朝比奈さんがいるしな、と自分を
「お待たせしましたぁ。ご注文はこれでよかったですか? あ、はぁい、ただいまお
なぜか店のウェイトレスとなって、テーブル間をいそがしそうに走り回っている。ハルヒの押しつけに従って
「おい、古泉」
さすがに
古泉は町娘たちのうっとりした視線を背中に浴びながら、
「どうしました、戦士キョン。我々のこの状況に何か不満なことでも?」
あたりまえだ。満足してる場合じゃないだろ。
「そうですね。一刻も早く
そうじゃねえ。魔王を倒す以前の問題があるだろう。
「ここはどこだ」と俺は言った。「このロープレみたいな世界は何なんだ。どうして俺たちはこんなところにいる。誰が連れて来やがった?」
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涼宮ハルヒの劇場 谷川流 @NagaruTANIGAWA
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