涼宮ハルヒの劇場
谷川流
act.1 ファンタジー篇
act.1 ファンタジー篇①
ほとほと
「なんだ、これ」
「何か言った?」
俺の
だが、まあ今は祈っている場合でもなさそうで、
「何も言ってねえよ。というか、しばらく何も言いたくない」
俺のコメントはこれだけだ。
「あっそ。じゃ
こいつに俺の向き不向き
そう、
「勇者ハルヒよ」
と、そのダイヤのキングそっくりのおっさんは重々しく
「世界を救えるのは生まれながらの勇者にして、太古から連綿と受け
「でさ、おっさん」
ハルヒは
どうやら中世風絶対王政を
ついでに言えば、
「世界を助けてくれってのは、そうね、
俺の
「でもね、労働には対価が付き物なの。その支配
達者に回る口だよな。俺は生き生きとした顔から目を転じ、ハルヒの
勇者ハルヒよ――、なんてこいつに向かって呼びかけるヤツがいたら、通常の俺は気の毒な思いを押し
「おお、勇者ハルヒよ」
さっさと城から
「悪なる魔王を倒し、世に平和をもたらした
「そりゃ、申すわよ」
ハルヒは指を鼻先で
「栄誉賞のメダルなんか、
「勇者ハルヒよ。ならばそなたを王宮に
「いらないって、姫さまなんか」
「――ではなく、王子と結婚して同権君主となるのはどうか。ただ、我が子たる王子と姫は
「いらないって言ってるでしょ」
だんだん声に
「そんなわけの解んないヤツとの結婚をチラつかされてあたしが喜ぶと思ってんだったら言っとくわ、あんたメッチャ間違ってる! どれくらい間違っているかって言うとね、マークシートを一段ずらしで全部
ハルヒは語気
「ねえキョン、このまま反乱起こして革命起こしてやんない?
やるなら一人でやってくれ。俺は反乱にも革命にも王権にも興味はない。世界の
というわけで、俺はハルヒの視線をかわすように反対側を向いた。そこにあったのは、俺が目に入れて飼えるなら痛いのも一週間は
「あ」
朝比奈さんは俺の視線に気づくと、それまでの
「似合ってます? これ」
似合うも何も、朝比奈さんが着て似合わなかったらそれはモデルではなく衣装の責任だ。そんな衣類は寒い夜に
「
賛美すべき言葉はシンプルにまとめるべきだと感じつつあるこの
「キョンくんのも、お似合いですよ」
それはそれは、と俺は何とか笑みをうかべつつも、実際にありがたいと思うべきかどうかははなはだ
「戦士キョンよ」
ついに俺にまで声をかけてきた。
「おぬしはどうか。世界を救い、我が姫を
――戦士。それが俺の役回りのようだった。
「手前ミソになるが、姫は美しい」と陛下は親バカを発揮し始めた。「前年度の世界美少女百選で首席の地位に
「そっすか」
俺はそっけなく
大体、ここでうなずいたりしようものなら魔王より早く俺が勇者に成敗されてしまうだろう。そんな未来の光景がシャボン玉のように目の前十センチあたりに浮かんで消えた。
「しつこい王さんねえ」
ハルヒが何をゴネているのかと思ったら、
「旅の路銀がこれじゃあ全然足りないわ。成功
なおもハルヒは
しばらくヒマになりそうだったので、この間を利用し残り二人の格好を簡潔に
長門は
長門は動かない視線でひたすら真正面の石の
パーティのメンツはこの五名、早い話がいつものメンバーだ。ただしハルヒの
だが、これで何とかするしかなさそうだ。
ハルヒとダイヤ王陛下が
「さて」
俺はそう
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涼宮ハルヒの劇場 谷川流 @NagaruTANIGAWA
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