合コンは嫌いだ!

崔 梨遙(再)

1話完結:1100字

 あれは20代の半ばだっただろうか? 僕は合コンが嫌いだった。良い思い出が無いからだ。だから、基本的に合コンの誘いは断っていた。


 だが、たまにあるのだ。人数合わせで参加を頼まれることが。頼まれると、嫌とは言えないのが僕の性格だ。僕はその合コンに参加することになった。


 幹事が張り切ってくれたので、僕が盛り上げる必要は無かった。楽だった。僕はテーブルの隅でポテトを食べていた。とにかく、早く終わってほしかった。


 僕以外が盛り上がっている中で、僕は会話に入ろうともせずにいた。ずっと時計ばかり見ていた。2次会に行くつもりは無い。もう少しだ、もう少しで解放される。


 女子の方は一人、美人がいた。だが、次々に男を隣に呼び、20分程話したら相手をチェンジ、別の男を呼んでいた。男を全員面談していたのだ。なんと図太い? いや、それだけ自分に自信があるのか? 彼女は彼女なりに男選びに必死だったのだろう。だが、見ていて愉快な行為ではない。“お前、何様のつもりやねん?”と言いたかったが、言うのも馬鹿馬鹿しいので、やっぱり時計ばかり見ていた。


 すると、隣のテーブルから、その美人に声をかけるという事態が起きた。合コンの最中に乱入されるとは? 僕達、めちゃくちゃ恥ずかしい。隣のテーブルの男達は、やっぱり大手の会社の社員だった。美人はそっちのメンバーとの面談を始めた。こんな合コンがあってもいいのか? 恥だ! 完全に隣のテーブルのメンバーに僕達はなめられていた。だが、僕は腹も立たなかった。他のみんなはどう思っていたのか?


 途中、僕は抜けて店の外で彼女に電話した。彼女には、合コンに行くことは伝えていた。“心配しなくてもいい、隅でポテト食べてるから”と告げて席に戻ろうとした。そこで、トイレに立ったあの美人と出くわした。


「あ、良かったら、これ」


 電話番号を書き記したメモを渡された。そして合コンの1次会が終わり、僕は家に帰った。



「崔君、何を見てるの?」


 彼女から聞かれた。


「いや、全然お話してないのに、女の娘(こ)から電話番号のメモをもらったんやけどな」

「それ、例のムカつく女? 電話してみれば? どんな反応をするか? 興味あるから。横で聞いててもいい?」

「うん、ええよ。ほな、かけてみるわ」


 僕はその番号に電話をかけた。


「はい」


 オッサンの声だった。


「すみません、○○さんの携帯ですか?」

「○○さんって、誰だ? お前は誰だ?」

「あ、間違いです、失礼しました」


 僕は電話を切った。


「最後までやられたな、これ、嘘の電話番号や」

「私の崔君をここまで馬鹿にするなんて、許せない!」



 彼女が僕の分まで怒ってくれた。だから僕は合コンが大嫌いなのだ。







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