第28話:ミレディ

「もうそれぐらいでいいでしょう。ティア君とミレディさん、挨拶はそれぐらいにして座って話しましょう。」

ダルトさんの言葉でティアとミレディのやり取りが中断される。


「とにかくティアちゃん、座りましょ。」

「はい、すみません、すみません、すみません・・・。」

ティアは謝りながら、観念したのか席に座った。


俺の前にはダルトさん、ティアの前にはミレディとちょっとした三者面談みたいな配置で座る。


「セイシロウ君、彼女がミレディさんだ。参考人として呼びました。」

「よろしくお願いします。グループ疾風怒涛(シップウドトウ)の代表ミレディといいます。」

「セイシロウと言います。よろしくお願いします。」


俺は挨拶と共に能力鑑定でミレディの能力を確認する。


名前:ミレディ 種族:人間 性別:女 年齢:35 属性:中立

ランク:B 職業:盗賊 レベル:32

能力

力:10 知恵:15 精神力:12 生命力:12 素早さ:15 器用さ:17 運:15


(レベル32の盗賊!それに35才?!これが美魔女という奴か?)


レベル32は今まで見た中でも圧倒的な強さだったので驚きを隠せない。

女神様が言っていたように下級職である盗賊はレベルが上がりやすいとはいえ、只者ではない。

それに35才とは思えないプロポーションである。

だがよく見ると、顔には疲れと多少の老いが見てとれた。

だがそれも含めて美しい女性である。


「何?私の顔に何かついてる?」

「ああ、いえ・・・なぜミレディさんがここに呼ばれたのかと思って・・・。」

「その件については私が話そう。」


ダルトさんが会話を遮るように話しかけてきた。


「ここ最近の事件で君達と同じように冒険者ギルドに助けを求める者達が多数いてね。疾風怒濤にも何人かいて、リーダーのミレディさんにはすでに事情聴取を別室で済ましてある。」

「ティア以外に何人も脅されていたんですか・・・結果はどうだったんですか?」

「結果としては・・・ミレディさんは関与してない事がわかった。」

「それは本当ですか?」

「ああ、本当だ。」


何の確証もなく、そう言われても納得出来るはずがない。

これからもティアが・・・いや、今回の事で俺もミレディの組織から狙われる可能性があるのだ。


「まったく納得がいきません!私達は身の危険を感じてまで冒険者ギルドに情報提供しにきたんですよ!絶対的証拠があってそう言ってるんですよね?!」

「絶対的証拠はない。だからどちらとも言えない。」

「そんないい加減な・・・。」

「だからミレディさんを連れてきた。なんでも聞きたまえ。」


はっきり言って無茶苦茶である。

黒幕と被害者を合わせるなんて危険極まりない。

それとも二人ともグルなんだろうか?

どちらにせよここで引くわけにもいかない。

俺は当事者のティアに質問するように促したが、ずっと顔を伏せていて怯えているようだ。


「ミレディさん、俺がティアの代理として質問して良いですか?」

「わかった・・・何でも答えるわ・・・。」

彼女は少し疲れた雰囲気だが、意志はしっかりしているように見えた。









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異世界で金と仲間でダンジョン無双 国米 @kokumai

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