第4話 ギルド募集中!
次に目覚めたのは、ベッドの上であった。どうやら誰かが運んでくれたらしいが誰が運んだのかまではわからない……だが、助けてくれたことには感謝したいものだと思った私だった……。
「ここは……?」と私が呟くと、そこに一人の女性がいたようでこちらに近付いてきた。
「あっ!起きたんですね!」とその女性は嬉しそうに話しかけてきたのだ。
「はい、助けていただきありがとうございます……」と言いながら頭を下げると彼女は微笑みながらこう答えたのだ。
「良かった。貴方のHP残り1でしたので、死んだかと思いました」彼女の言葉を聞いて私はハッとした。確かにHPが1だったことを思い出し慌ててステータスを確認したところ、幸いにもまだ残っており一安心することが出来た。
「本当に助かりました!ありがとうございます!」と再びお礼を言うと彼女は少し照れくさそうにしていた。そして、そのまま立ち去ろうとしたのだが私は思わず呼び止めてしまったのだ……。なぜそうしたのか自分でもわからないが、ただ彼女と話がしたいと思ったからかもしれない……。
「あの……もしよければ少し話しませんか?」
と私が言うと、彼女は一瞬驚いた顔をしたがすぐに笑顔で答えてくれたのだ。
「はい、いいですよ」と言って椅子に座る彼女を見て私は少し嬉しくなった。
それから私たちは色々な話をした……お互いのことやこのゲームのことなど話題は尽きなかった……そして、ふと気になったことを聞いてみたのである。
「あの二人のプレイヤー何故私を襲ったんだろう……」と私が言うと、彼女は少し困った表情をして答えてくれたのだ。
「あの人たちギルドプレイヤーなんですよ」
「ギルド?」
「はい、このゲームではパーティーを組んでボスを倒してプレイヤーランク1位になるのが主流ですが、中にはプレイヤー同士でギルドを作って野良を倒す人たちもいるらしいです」
「へぇーそんな人たちがいるんですね……」
私は素直に感心した。まさかそんな人達がいるとは思わなかったからだ。
「あの二人はつまり、実力試しのために私を襲ったということでしょうか?」と私はさらに質問してみた。
「そうです、あの二人はこのゲームの中ではかなり強い部類に入るので初心者プレイヤーの貴方が狙われてしまったんです」
彼女の話を聞いて納得したと同時に、自分がいかに弱い存在か思い知らされたような気がした。
「そうだったんですね……あんな強い人が居たとは」
「はい、私達が中立的で好戦的でなくしても相手から攻撃されることが多いです」
「なるほど……確かにそうですね。ちなみに、あなたはギルドに入っているんですか?」と私は興味本位で聞いてみたのだ。
「いえ、入っていませんよ」と彼女が答えると同時に、私のお腹が鳴る音がした……どうやら空腹のようだ。
「あっ……」と私が言うと、彼女は笑いながらこう言ってくれたのである。
「ふふ、今からでもギルド作成します?私で良ければ作りますけど……」
彼女の提案はとても有り難いものだったので、私はすぐさまお願いすることにしたのだ。すると彼女は一枚の紙を私に手渡してきた……その紙にはこう書かれていた。
『ギルド名:ニュートラル』と書かれていたのだ……どうやらこれがギルドの名のようだ。そしてその下にはメンバー欄があり、そこには既に2人の名が記載されていた。一人目はリナであり、もう一人は私の名前アイカと書かれている。この二人でギルドを結成するようだ。
「これがギルドメンバー欄ですか?」と私が聞くと彼女は笑顔で答えてくれた。
「そうです、私と2人だけだとお力になれないですけど、なるべく頑張りたいですね」と言ってくれたので私は嬉しくなった。私は彼女、リナと共にギルド「ニュートラル」の設立を進めていくことにした。まだ人数が少なく、頼りになる仲間はリナしかいなかったが、それでも私たちは前向きに進んでいくつもりだった。
最初は何をすれば良いのか全く分からなかった。ギルドを作ったとはいえ、私もリナも経験の浅いプレイヤーだったからだ。しかし、リナは非常に頭の回る人で、ギルドの運営に関してはどんどん案を出してくれる。彼女のおかげでギルド運営がスムーズに進んでいった。
私たちはリナの提案に従い、まずは新しいメンバーを集めることに決めました。ギルドを成長させるためには仲間が必要ですし、仲間が増えれば攻略もスムーズになります。そこで、私たちは野営地や中級エリアを回りながら、新たなプレイヤーを勧誘することにした。
初めての勧誘活動は思ったよりも難しいものだった。多くのプレイヤーは既に他のギルドに所属しているか、ソロプレイを好んでいるため、なかなか新しい仲間を見つけることができなかった。多くはあまり積極的ではないプレイヤーや、自分のペースで冒険を進めたいと考えるソロプレイヤーが多く、元々リリース開始からプレイしているプレイヤーたちは自分のスタイルを確立していた。彼らにとって、新しいギルドに加入するというのは大きな決断であり、私たちのギルドの魅力を伝えるのはなかなか難しいものだった。
募集を投げかけるがほとんどが退出したり、無視されることも多かった。思ったよりも勧誘活動が上手くいかず、私は少し落ち込んでしまった。「ギルドの設立はこんなにも難しいのか」
「んー、元々リリース開始から既にギルドがいくつも存在していて、私たちのような新参ギルドが仲間を集めるのは難しいかもしれないですね」リナが考え込むように言った。
「また後で募集しよ。とにかく、今はレベル上げに集中しましょう。新しい仲間が見つからないのは仕方がないけど、私たちが強くなれば自然と興味を持ってくれる人も増えるかもしれないし、まずは自分たちの実力を上げることが重要よ」と、リナが励ましてくれた。
私は彼女の言葉にうなずき、再び冒険を始めることにした。ギルドを作ることも重要だが、まずは自分自身が強くならなければ他のプレイヤーたちに尊敬されることも、ギルドの魅力を伝えることもできないだろうと思ったからだ。
二人でレベル上げをするため、またフィールドへと出発した。
リアルライフ・アドミングザソードマン 八戸三春 @YatoMiharu
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。リアルライフ・アドミングザソードマンの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます