大童ヒューマンエラー
@ShurlP
第1小節 大童
授業が始まる音が鳴る。今日も昨日も明日が来る。
彼らが過ごす朝と昼と夜の繰り返しには、繋がりなどない。
社会科目が好きな、秋口が朝一番に口を開く。
「僕の話を理解できないのなら、この学校で生活なんて出来やしないよ。」
「きっと君は周りの人たちを困らせていることね。」
間髪を入れることのない、生物学好きの北川。
今は春、若しくは夏か秋か冬。彼らを前にはあまりにも些細な事。
「このクラスの委員長は僕だ。異論があるなら公平に話し合おう。」
「異議あり。何故ホモサピエンスの進化系ごときにクラスを任せる必要があるのかしら。もっと偉大な存在に任せるべきよ。」
「他力本願の精神は結構だが、君のソレは"生物学"ではなく"スピリチュアル"だ。」
「それは私の意見を否定しているの?それとも私自身?」
彼らはただの高校1年生で、何気ない毎日を何気なく過ごしているだけ。
「どちらも大して差異はないだろう。相変わらず無駄な時間稼ぎが好きだな。」
「その時間があるから生物は皆進化できたのよ。」
「進化した結果が君のような類人猿で在れば、さぞ神も残念がるだろう。」
「貴方の言葉、綺麗に返品するわね。」
外は既に夕日が出ていた。
彼らは言葉に意味を求めない。きっと毎日に意味など感じない。
「君は"
「言葉遊びを得意とするのは貴方のキャラじゃなくて、2年生の斎藤先輩の役回りよ」
「まるで深い意味があるような言葉だけど、僕たちにとって意味などないも同義だ」
常に不気味な程笑顔な秋口の、顔には真剣さが伺える。
「不親切なのね。」
彼らはかつてを思い出そうとした。自分の思い描いた夢。
夜空の中開かれる授業光景はきっと、言葉など不要だろう。
「私には夢なんかない。そこにあるのは意味のない執着」
「どうした、悲観か?慰めてほしいのか?君の小さな悩みなど、世界問題の前ではちんけなものだ。」
「私のこれは悲観でもなんでもない。ただの振り返り。生物は前に進むために存在するもの」
「いつか自分の人生にタイトルをつけるなら、きっと”
大童ヒューマンエラー @ShurlP
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