第15話
それから何年も経って。
行方不明の捜査も、そろそろ終わりかけになっていた。
そして、今でも部屋の一室では、死んだ目をした男と、いつもご機嫌な女が、いる。
「ねえ、付き合って」
「うん」
ある日、女はそう言った。
それに、男は無機質な声で答えた。
「いいの? 嬉しい」
女はにこりと笑って、男の体を抱きしめた。
男は、心が無くなってしまったかのように、それをただただ受け止めた。
女の機嫌を損ねないように。
すでに、もう遅いのだ。
女はにこにこと笑って、今日も男の世話をし続ける。
何でも、全部。
「ねえ、ずっと一緒にいようね。結婚して」
女はずっと囁き続ける。
抵抗できない男と、ただの一人のヤンデレ。
ここに、この物語は終わりを告げる。
お願い、付き合って! 虹空天音 @shioringo-yakiringo
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