第七日目

 最後の日が来た。体はもう動かない。私は、かつての街の中心部にある公園のベンチに座っている。


「ここで...終わるのか」


 空を見上げると、灰色の雲が覆っている。太陽の姿は見えない。


 これまでの6日間を思い返す。荒廃した世界、失われた文明、そして新たな生命の兆し。人類は滅びたかもしれないが、地球は生き続けている。


「俺の役目は...何だったんだろう」


 答えは見つからない。しかし、不思議と恐怖はない。ただ、静かな受容がある。


 胸のパネルが点滅し始めた。残り時間はわずかだ。


「まるでセミみたいだったな...短い命だけど、精一杯生きた」


 目を閉じる。風が頬を撫でる。それは優しい風だった。


「さようなら...そして、ありがとう」


 最後の言葉を呟き、私は永遠の眠りについた。人類最後の生存者として、そして新たな世界の証人として。


 胸のパネルが消える。世界は静寂に包まれた。しかし、その静寂の中に、新たな生命の鼓動が聞こえる気がした。

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「7日間の黙示録 - 最後の生存者の記録」 ペンネペン太郎 @skrm0903

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