幸せから《おりた》話

釣ール

陣地をうばい、うばわれて

 子どものころにケードロをやったことをある人なら分かるかもしれない。



 こちらはもう忘れているが、ケードロは捕まえたり捕まったりするゲームか。



 話を変えると陣取じんとり遊びで例えてみたかった。



 子供こどもの遊びと馬鹿にしていると痛い目を見る。




 事実じじつこの社会を生きている以上は演技でだます人間が成功者としてふるまって数字やズレた実績じっせき成績せいせきでみなを生きづらくしている。



 マウントをとる行為こういもとられる行為こういも日常を生きる上で必要がない遊びの延長えんちょうだ。




 そのはずなのに誰もそのことを表ではとがめない。




 理不尽りふじんだ。

 こちらの趣味を馬鹿にしておいて。

 やり返すのは競技者きょうぎしゃもエンターテイナーもやることだ。



 差別主義者さべつしゅぎしゃの低学歴な肉親に『お前は犬以下だ!』と言われれば『生まれる時代を間違えたら同じことを言えない想像もできない低学歴ていがくれきのくせに』と事実をげる。




 なにも起こらなかったはずだ。




 だから悪魔だと何度もせめた。

 いちど負った傷の重さを教えるために。




 そんなやりとりのなかで生き残っても〝幸せ〟はただの問いになるだけ。



 腹の中はおたがい分からない。

 どうしても。



 細く長く続けたかった関係もすぐにとけてなくなってしまう。



 そこをぬけた人間がインターネットで輝く姿の裏で涙をながしているらしい話を聞いていま、実感した。




 それもただのズレかもしれないのなら何を信じ、何を頼りに生きればいい?




 誰も教えてくれないなかでもがいた日々は幸せじゃないんだと相談した相手から決めつけられた。



 ならその事実を現実としてとらえるしかないのだろうか?



 富裕層ふゆうそうよ。



 たのむ。

 だまっていてほしい。




 気をつかわずにすむ密林で暮らしたい都会でかごにしばられている生き物の勝手なねがいだ。



 勝手だからこそ今日も閉じ込められている。



 いつかだいじなナワバリを勝手にペンキで塗った人間を道連みちづれにするために。

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