旅館 花永
@susukiran
第1話
ー旅館花永は旅館雑誌「旅館アワード」に選出された人気旅館である。そこのスタッフ公認の政略結婚から生まれた社長夫婦なら物語ー
旅館「花永」は、美しい自然に囲まれた静かな場所に佇む。社長の藤井雅史は冷静沈着で、経営に専念する一方で、妻であり総括部長の敦賀莉奈は、スタッフから愛される存在だった。政略結婚ではあったが、二人の間には真摯な信頼と愛情が育まれていた。
ある晴れた日、雅史は社長室で書類仕事をしていた。ふと、ドアが開いて莉奈が顔を出す。「お疲れ様です、雅史さん。」
雅史は微笑みを返し、書類を片手に彼女に向かう。「お疲れ様。ちょうど休憩にしようと思っていたところだ。」
「じゃあ、少しお茶でも淹れましょうか?」莉奈は微笑みながら提案した。
「それより、今日は何か特別なことがあったの?」雅史は莉奈の表情を見つめ、少し心配そうに尋ねた。
「特にないけど、みんな頑張ってるから、私も負けてられないと思って。」莉奈は少し顔を赤らめながら答えた。
雅史は彼女の手を優しく取る。「無理しないでほしい。君の頑張りをみんな見ているから。」
莉奈はその言葉に心を温められ、照れくさそうに笑った。「ありがとう、雅史さん。あなたがいるから頑張れるの。」
二人は穏やかな時間を過ごし、互いに支え合う関係を感じていた。仕事が終わると、莉奈は社長室を後にし、スタッフたちとともに明日の準備を始めた。その背中を見つめる雅史は、彼女の姿に誇りを感じていた。
その日の午後、莉奈はトイレに呼び出された。「ちょっと話があるから、来て。」そう言って同期のスタッフが声をかけてきた。莉奈は特に疑うこともなく、そのままついて行く。
トイレの個室に入ると、待っていたのは莉奈に嫉妬心を抱く別の女性スタッフだった。ドアが閉まると、急にその女性が前に立ちはだかる。「あなた、社長と特別なんだから、ちょっと調子に乗りすぎじゃない?」
「え?何を言ってるの?」莉奈は驚き、混乱した。
「そんなに偉そうにしないでよ。みんながどう思ってるか、わかってるの?」女性スタッフは感情を抑えきれずに言い放った。
「私が何かしたの?」莉奈は目を大きくして尋ねるが、言葉が返ってくることはなかった。
突然、女性スタッフは莉奈に押し寄せ、制服を乱し始めた。「これで少しは反省したら?」
「やめて!!」莉奈は必死に叫んだが、抵抗することもできず、彼女の制服は乱れてしまった。
「このまま掃除しなよ。」女性スタッフが言う。
ほぼ脱げかけた制服で便器を掃除させられる。時々便器に頭を入れられた。
その瞬間、トイレの外で同期のスタッフが声をかけた。「莉奈、どうしたの?」
「お願い、助けて!」莉奈は叫び、心の中で恐怖が広がる。
同期のスタッフは急いでドアを開け、驚愕の表情を浮かべる。「何が起こったの?莉奈、大丈夫?」
「社長に連絡する!」とそのスタッフは言い、急いで雅史のもとへ駆け込んだ。
数分後、雅史は莉奈を大きめのタオルで包み社長室兼自宅に連れて行く。彼女は少し緊張しながらも、雅史の優しさを感じていた。
「大丈夫、安心して。」雅史は優しく背中を摩りながら、莉奈の不安を和らげようとした。
「何が起こったのか…」莉奈は混乱したまま呟く。
雅史は温かい声で答える。「お風呂に入る?リラックスできるよ。」
莉奈は頷き、二人は一緒にお風呂に入ることにした。雅史は彼女の身体を洗い、髪の毛も丁寧に洗った。身体を洗われるのは少し恥ずかしかった。しかし莉奈は怒りを感じることもなく、雅史の優しい手に心がほぐれていくのを感じていた。
「気分はどう?」雅史が尋ねると、莉奈は少し微笑みながら答えた。「少し楽になった気がします。ありがとう。」
「午後は半休にしよう。ゆっくり休んで。」雅史は優しく言った。
莉奈は心の中で、雅史の存在が自分を守ってくれると感じ、感謝の気持ちでいっぱいになった。そのまま少し眠りに落ちると、雅史は彼女が寝ている間に、嫌がらせをしたスタッフを処分するために動き出した。
莉奈が目を覚ますと、雅史は私のスウェットと、取られてしまっていたので違う下着も持ってきて、「これ、着替えておいて。心配しなくても大丈夫だから。今は制服じゃ苦しいでしょ?制服は部屋に置いとく。」
莉奈はその心遣いに感謝しつつ、少し照れくさく思った。「雅史さん、本当にありがとう。あなたがいてくれて良かった。」
雅史は微笑み返し、「君がいるから、俺も頑張れる。何があっても、俺は君を守るから。」
口付けをかわし、莉奈は安心感に包まれ、眠りについた。彼女の心には、今まで以上の絆が芽生えていた。
旅館 花永 @susukiran
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