【実話】恐怖の公衆電話

もっちゃん(元貴)

ある夜に起きた怪奇現象

以下の話は、わたしが中学生の頃、実際に起きた出来事の一部始終である。


 当時、塾に通っていたわたしは、塾の講義が終わり友達数人とそれぞれの親が車で迎えに来てくれる間、塾のすぐ横にある郵便局の西口のあたりで、取り留めない話をしていた。


 しばらくすると、


 「リン、リリン」


 わたしたちの前にある公衆電話が急に鳴り始めたのだった。


 「えっ!ちょっと!あの電話なってるんだけど!!」


 友達のAさんが、公衆電話が鳴っているのに気づいて、みんなに知らせたのです。


 友達B君、C君、Dさんとわたしは、会話に夢中だったので、気が付かずそれを聞き、驚いて顔を見合わせました。


 C君が、「へぇー、公衆電話って電話がかかってくることあるんだなー」


AさんとDさんが「なに呑気なこと言ってんの!公衆電話がなり続けてるんだよ。怖いでしょ!」


 「そうだよ‥‥‥公衆電話に電話がかかってくるとか聞いた事ないよ」


 「じゃあさ、誰か受話器取ってみてよ」とB君が言ってきた。


  わたしは、「いやだよ、なんか怖いよ」


「だったら、ぼくが受話器をとろうか?」


C君が受話器を取ろうとするが、


Aさんが「やめなよ!なんか呪いの電話かもよ!」


「ちょっと怖いこと言わないでよ!」とDさんが大声でいうのと、同時に公衆電話が鳴り止んだのだった。


 「ふぅ〜。よかった〜」


女子二人が安堵の表情を浮かべた。


「ちぇっ、なんだよ。面白くないや」


B君がそう言った後に、ちょうど親が迎えに来たので不満そうな顔をしながら帰っていった。


 B君が帰って数分後、


「リン、リリン」


再び、公衆電話が鳴り始めたのだった。

 

 「わっ!またなり始めたよ!」


 わたしがいうと、C君が何も言わずに受話器を取ってしまった。


 「もしもし‥‥‥」


 「すみません、先程そちらの電話から、こちらに通報しませんでしたか?」


「あの‥‥‥どちら様でしょうか?」


 「失礼しました、こちらは、〇〇県警の西村といいますが、その電話から緊急通報ボタンが押されて警察に通報されたけど、こちらの聞き取りに無反応でしたので、かけ直したのですが?」


 「警察!みんな、警察からの電話だ!!」


 C君が、わたしとAさんとDさんに警察からだと伝えてきた。


 「すみません、あなたが先程通報された方ですか?」


 「いいえ、通報してません。公衆電話の前で友達と話していたら、急に電話がなったので気になりましたが、1回目に出ようかなと思っていたら切れちゃって、またかかってきたので、受話器を取っただけですけど」


 「2回目?わたしが、そちらにかけたのは今が初めてですが」


 「えっ!2回電話がなったのですけど」


 「おかしいですね‥‥‥。まっ、その話はいいです。本題はそちらの電話から緊急通報があった件です、本当にご存じないのですか?嘘はついてません?」


 「いいえ、緊急通報のことは、まったく知らないですし、嘘はついてません!みんなそうだよな?」


 C君にが、受話器をこっちに向けて、同意を求めてきた。



  「「「はい、間違い無いです!」」」



 「わかっていただけましたか?ぼくたちが嘘をついてはいないことを」


 「そうですか、では、あなたたちはその公衆電話の前に何分前からいますか?」



 「えっと、15分前ぐらいかと思います」


 「15分前か‥‥‥警察に通報があったのは、今から8分前ですから、あなたたちは、そのとき公衆電話の前にいたということですね?」


 「はい!いました」


 「では、その時間帯に公衆電話を使っている人を見かけましたか?」


 「ぼくたちは話に夢中だったので、公衆電話を使っている人がいたか、どうかは、ぼくはわかりませんが、ちょっとみんなに聞いてみます、ちょっと待っていてください」


 「わかりました」


 「なぁ、みんな警察官が、公衆電話を使っている人を、ぼくたちがしゃべっている時に見たか?と聞いてきたんだが、誰かいたか?」


 「誰もいなかったと思うけど」


 「わたし、ちょうど公衆電話の前いたけど、背後に誰かいたら気がつくから、誰もいなかったはずよ」


 AさんとDさんが、誰もいなかったという。



 !!‥‥‥



 「なにも見なかったよ」



 思わず嘘が口から出てしまった。



 「そうか、誰もいなかったと警察官にいうよ」


 手に持っていた受話器を再び耳に当てる。



 「もしもし」



 「––はい、それで公衆電話の前に人を見た方はいましたか?」


 「いえ、誰も見ていないです」



 「そうですか、わかりました、ご協力ありがとうございました」


 「はい、それでは失礼します」


 ーガチャ


 「ふぅー、警察官と話すって緊張したよ、しかし、誰が警察に通報したんだろう?」



  「幽霊だったりして‥‥‥」


  わたしは、本当にみんな見てないのか探りを入れてみた。


  「やめて!怖いこと言わないでよ!」


  Dさんが耳を塞いで、涙目でわたしの顔を睨んできた。


  「ごめん、ごめん、悪かったよ。冗談だよ」


   「冗談キツいぞ!ハハッ!」


   バシバシとC君が、わたしの背中を叩いてきた。


 Aさんが、「そうだよ、やめてよね!もうこの話はこれでおしまいにしましょう」


 Dさんも 「そうしよ、これ以上この話したくないよ」


 女子2人が怖がっているので、わたしとC君は、話をやめたのだった。


 その後、それぞれの親が迎えにきて、何事もなかったように、みんな家に帰っていった。


 わたしの親が1番遅く迎えにきたので、駐車場にきた車に乗り込もうと一歩足を踏み出した。


 その時、自然と公衆電話の前が目に入ったのだが、なぜかそこだけが


  それで、わたしは、アレは見間違いじゃないことを確信したんだ。口では、冗談だと言ったが、実際は、幽霊が通報したんじゃないかと。


 だって、あのとき友達と話している時に、一瞬だけ、公衆電話の方を見たんだ。


姿


 さっき探りをいれたが、あれだけではよくわからなかった。でも、友達3人が嘘を言っている可能性も捨てきれない。

特にCさんは、やけに怖がっていたし、あの男性を見たのではないかと思っている。


 しかし、もうこの話を、その後一切しなくなって、月日が流れて今に至る。


 現在、その公衆電話は、郵便局から撤去された。

 わたしが、郵便局に所用で行くたびに、公衆電話があった場所の前を通るが、なぜか今でも濡れているように見えるのは、気のせいだろうか?


 今、その友達とも疎遠になっているので、真相は闇の中だが、果たしてあの男性は、一体なんなのか?なぜ警察に通報したのか、1回目、公衆電話が鳴ったのは、なぜなのか?わからないことばかりである。


 


          終

 

 


 

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