第7話気にされる俺
気になる彼の反対は気にされる俺だと思う。
ぬいぐるみを片手にウッコは満員電車の中で前の人に膝カックンをした。わざとではない。膝が崩れ落ちたのだ。ただですら右膝が痛い系男子なのに、満員電車で生まれたての子鹿になるなという方がおかしいと思う。
まかせろ、人に押されてもう立ってられないんだからな。こっちは。
とりあえず大丈夫か?ぬいぐるみに視線をやると何とも言えない顔でこっちを見つめている。おそらく満員電車が気に食わないのだろう。
悪かったよ、と申し訳なさそうな顔をする。
あとで新しい服でも買ってやるか、とご機嫌取りの作戦を考えているうちに駅に着いた。
降りようとした時、おばあちゃんに二度見された。
ホームでチャージをしてるとウッコ、と後ろから声がして振り向くとそこには相変わらず気に食わないけど気に食う顔のエデルが立っていた。
エデルとは委員会が一緒なだけで特にクラスメイトだ。
そう。クラスメイト。クラスメイト。
いや、実はエデルに、俺、、、踏まれたいんだよね。そう。踏まれてみたい。なんか、いつも何とも言えない顔してるし、真顔怖いし。でも笑うと糸目になるし、気に食わないんだけど気に食う顔してるんだよね。
だから踏まれたい。別にMじゃない。そんな趣味はないが、エデルに踏まれたら幸せになれると何故か信じてやまない。
きっとあれだ。神社とかで触ると良くなるみたいなそれだ。エデルに踏まれたら良くなるって感じ。
そう思ってエデルに微笑みかけると、何とも言えない苦笑いが返ってきた。
夢の中で息をする @ederu
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