学校へ行け

白川津 中々

◾️

親しい友達がいるわけでも勉強ができるわけでも部活をしているわけでもない俺は学校へ行く意味を見出せずぶらぶらと遊び歩いていた。


将来などについてはもちろん気になるけれどもそれよりも今の虚無感が上回っていて、とてもじゃないが授業を受ける気持ちを作れない。無為な逃避と知りつつ、何か、なんとかなるきっかけはないかと思い青空の下に自由をしているわけだ。漫画やアニメだったら、ここから運命的な出会いがあったり事件に巻き込まれたりするものだが現状においてそんな奇天烈なでき事と縁はない。時代だからか反社会性力や不良からの接触も皆無。少し前に流行った◯◯キッズ界隈などというものも近場に形成されていない。田舎だからだ。


周りに何もなく誰もいない日常。こんな場所で虚無が埋まるのだろうかという疑問は浮かぶが、仮に物に溢れた都会にいても俺は同じような悩みを抱くと思う。犇く人と建物に混じっても根っこの部分で朱に染まれないだろうという自覚があるのだ。つまるところ要因は俺自身の人間的性質であるから、やはり外をふらつく行為は無意味に近い。寝ていた方がましまである。


けれども、それでも尚俺は、何かがあってほしいと願ってしまう。今度は親の金をくすねて、山なり海なり、それこそ都会なりに行ってみようか。きっと何もないのだろう。得るものはないだろう。それでも、俺は求めたい。人生における、何かを。

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