急『心残り』
〈これで誰も争えまい。この星には、我ひとりなのだから〉
しかしある日、異変が起こった。
頭痛がするのか、頭を両手で抱え、地をのたうち回る
「「「「「「「「「「「「リビングではスリッパ履いてって言ったでしょう! なら、今死ね。水が余計に減らぬうちにな……そんなの高くて、ウチでは買えない!! 仕方ないのだ。この国の存続のためには、犠牲が必要なのだ。白き者どもは、相応の対価も約束してくれた。そうかそうか、
頭の中を、支離滅裂の声が飛び交う。
耐えきれず、
〈痛む……頭が痛む……心も……痛む……〉
魂たちの暴走は、
〈ああ!!!! 苦しい!!!! 消えてしまいたい!!!!〉
すると、
風が、この星で唯一の魂の入れ物を、切りつけ始める。
〆〆〆〆〆〆〆〆〆〆〆〆〆〆〆〆〆〆
〆左腕がもげる〆
〆右腕がもげる〆
〆左脚がもげる〆
〆右脚がもげる〆
芋虫のように、モゾモゾと
散らばる四肢と胴。
救世主だったものを形づくっていた、器官や、組織は、
唯一、心臓だけが、無傷で残った。
どくり、どくりと、弱々しいが、確かな拍動。
そして、救世主の心は、
止まった。
▽△▽△▽
自と他は所詮、他人同士である。
決して、完全には、理解し合えない。
かと言って、独りになってしまえば……
苦しみ、消えることを選ばざるを得ないのだ。
〈完〉
収斂する魂 加賀倉 創作【書く精】 @sousakukagakura
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます