こだわりの職人が料理を提供する大人の隠れ家的なお店、みたいな作品
- ★★★ Excellent!!!
まずは序文に目をとおしていただきたい。
作者が学生時代に遊んだ古き良きTRPGシステムとシナリオをベースに、登場人物たちの生き様を描く大作となっています。
このため異世界転生モノの黎明期から執筆された作品でありながら、いくつかの点で他の作品と違いを見せています。
一例を挙げると、空間魔法は作中人物に対して失伝しており空間収納(ストレージ)や転移は使えません。
またゲームシステム的にはレベルとスキルの併用ですが、作中人物に対しては、その大部分がマスクされており知りえません。
このため主人公は泥臭い修行?を行いながら、剣と魔法のオース世界のシステムの解明も行っていきます。
前世の知識と経験を活かし、金と人脈を整えながら作中世界でひとかどの人物を目指します。
現代地球人の価値観と転生先の価値観とを擦り合わせる過程で露悪的な独白を行う主人公の性格は、合わない人には合わないため読む人を選ぶところでもあります。
でも、決して冷酷非情なわけではないところが人間味を感じるところでもあります。
KADOKAWAでの書籍化は時流に乗ることを重視したのか早すぎた嫌いがあり、尻切れ蜻蛉となってしまいました。
書籍版に加筆修正が施された本作が、コミカライズと相まって多くの読者の目に留まることを祈ってやみません。