授業中に不良が乱入
岡島が居なくなってクラスの生徒たちが騒ぎ始める。
『先生が言ってたショッピングモールって学校の近くじゃない?』
『確かそうだったはず・・・』
『噂だと被害者の女の子がこの学校の先輩らしいよ』
『嘘・・・契約者候補が狙われているってことかな』
契約者が適性のある契約者候補を殺し吸収することで、能力が強化されるのは事実ではあるが・・・如何せん1人吸収する位だと効率は悪いのだが。
「いやあ、都内は相変わらず物騒だよなぁ!俺が契約者なら絶対倒しきるんだけどよ!」
「まだ、どんな能力貰えるか分からないでしょうが。まあ僕も日頃から努力しているので、能力を得られれば負ける気はしないけどね」
「まだ、俺と一緒の無能力者なんだから、岡島の言う様に逃げるのが一番だよ」
剛は見た目通りなのだが、将暉は意外にも売られた喧嘩は買うタイプなので二人とも根底は似た者同士なのかもしれない。
「私も逃げちゃうなぁ~。訓練じゃなくて、実際に戦うの怖いもんね!」
沙羅はニッコリ笑顔で僕を見つめていた。
俺には君が逃げるようなタイプには全く見えないけどね・・・。
「そうだね。戦うなんて、そんな恐ろしいこと俺には出来ないよ・・・」
時々夜に裏の契約者達を殺しまわってることは秘密なので、学校では俺が戦闘が好きじゃないアピールを欠かさないようにしている。
まぁ実際に戦うのが好きではないのだが・・。
「というか・・・そろそろ武術祭の準備期間だよなぁ。トーナメント形式で先輩たちとも戦えるチャンスがあるなんて願ってもない機会だからなぁ」
「確かに僕も偶には違うタイプと戦ってみたいしね」
武術祭とは徒手格闘組・武器組それぞれで分かれて行われる組手高いのことだ。
昔は体育祭ってのがあったらしいが・・・今は無くなり武術祭になっている。
二人は沙羅に目を向けながら話す。
剛と将陣や他男達の好きな女の子へのアピールチャンスだからね。
頑張れよ。
「あ~武術祭ね!私も出るからには負けたくないぞぉ~!」
正直普段の体育の授業を見ていると、沙羅が優勝間違いないように感じる。
この人、木刀持つと明らかに一段階強さ上がるんだもん。
徒手格闘組だと別のクラスの戦闘狂が勝つだろうなぁ・・・出場する気があればだけど。
『黒田さんも武術祭に出るのか・・・』
『モデルやってるのに武術も強いんだよな・・・』
『俺・・・徒手格闘組に出る事にするよ・・・』
俺たちの話を聞いていたクラスの皆が、ヒソヒソと話し始めていた。
一般人より感覚器官が鋭いから、聞こえてるよ・・・。
「錬君も武術祭出るよね?」
「出ないよ!契約者になれないから出る意味も薄いしね・・・」
契約者になりたい生徒にとって、大会の実績が国の契約者になるための評価ポイントになるのだ。
俺は契約者の資質がないから出場するだけ無駄なのだ。
「そっかぁ~。なら今日からの体育の時組手の相手に付き合ってよ!」
「まぁ・・・それくらいなら喜んで!」
実際に沙羅と組手するのが一番練習になるのは間違いないのだ。
『俺が一緒に組手しようと思ってたのに・・』
『赤石のやつ身体能力はかなり高いが、組手は微妙なのになぁ』
『マジかよ。黒田さんと二人でとか羨ましすぎる・・・』
沙羅は美少女なので男達からは特に大人気である。
俺への妬みが凄い・・・悲しいよ。
午後の体育まで寝ないように午前の授業も耐え抜きますかね!
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
沙羅達に言った手前、俺は頑張って授業を耐えきった・・・。
実は何度か寝ようとすると、隣の沙羅にツンツンと色々な場所を指で突かれる。
沙羅は僕を寝かせない気ですね・・・意外とドSさんな面もあると思うの。
だって起こしたときの顔が、凄い喜んでいるし・・・。
今は物理の授業である・・・これが終われば昼飯の時間。
もうすぐ時計の針が十二時を回りそうな時に、教室の扉が突然開かれた。
「うぃ~っす!」
この男はクラス一の不良男子の十六夜京谷だ。
性格は一昔のヤンキーと言った感じで、すぐ拳が出てくる男だ。
見た目もオールバックに刺繍入れてて厳つい感じだ。
勉強は苦手だが、徒手格闘の成績はクラスでも一番いい。
体育の授業がある月・水・金にのみ来るのだ。
実は契約者として資質がかなり強いと噂されているのだ。
十六夜が扉を乱雑に開け遅刻してきても教員達は何も言わないのだ。
誰だって殴られるのは嫌だし、注意しても無駄だと分かっているのだ。
十六夜が来る日は教室の空気が完全に死ぬ。
「よぉ沙羅!モデル大分活躍してるなぁ、この前雑誌みたぜ」
「こんにちは!になるかな?十六夜君は重役出勤だねぇ~モデルの方も頑張ってるよ!可愛く撮れてたでしょ?」
「そうだなぁ・・・。いい加減俺の彼女になれよなぁ」
「毎度の事しつこいなぁ~少なくても私より弱い男とは付き合わないよ!」
「沙羅が嫌がってるだろう?いい加減止めろって!」
「そうだね。これ以上黒田さんに詰め寄るようなら・・・僕が相手になるよ」
この不良にも堂々と立ち向かえるのが、剛と将揮である・・・流石だ。
「お前等じゃ相手にならねぇよ。白けたから、どっかで時間潰してくるわ。沙羅・・・
近い内にお前は俺の女になるぜ!」
十六夜との対応に面倒そうな態度を表していた沙羅が、楽しそうな顔に様変わりした。
相変らず殺伐とした空気好きですよね・・・。
十六夜が教室を出たタイミングで、授業の終了のチャイムが鳴った。
なんか眠気が吹っ飛んだわ。
契約者を殺す男 @sige02
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