第16話



「ごめん、今度からはちゃんと名前で呼ぶから!」




あまりにも落ち込む彼らに申し訳ない気持ちが湧いてきて、約束すれば“そうして下さい!”と食い気味にお願いされた。



そんなに嫌だったのか……。




それにしても、みんないつまで敬語を使う気なんだろ。




「それでは、指名された僕が説明しますね」



「よろしくお願いします!」




一応、あたしも彼らに合わせて敬語で話すことにした。




「雨貝八永さん。あなたはこの学校にいる暴走族についてご存知ですか?」




知りません、とあたしは首を横に振る。




櫻木高校は有名な不良校だ。言い方からして、かなり上位の族のメンバーがここに通っているのかもしれない。



誰か知ってる奴はいるかなーと気になりながら次の言葉を待つ。




「では、そこから説明します。なんとこの学校には────関東一を誇る暴走族の総長、副総長、それから幹部たちが全員揃っているんです!」




え。まさかそれって────…





「その名も、閃光の“五閃”」





その名前を聞いた瞬間、あたしは理解した。




父さんがあたしをこの学校に通わせたのは、“彼ら”がいるからだったのか。





「“閃光”は正統派の族で──」





黄色信号の江口 香が熱心に説明してくれているけど、正直今はそれどころじゃなかった。





──閃光(センコウ)




閃光というのは、関東No. 1の暴走族のこと。



歴代最強と称される今の代の総長、副総長、幹部らの計5名は“五閃(ゴセン)”と呼ばれている。




そしてあたしは一度だけ、そいつらと話したことがある。




それはあたし……いや、“俺”らがまだ「天色」を全国一の族にする前。




夜の繁華街の見回りをしていた時のことだった。




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天色ガール 【修正版】 蜂井マス @bachii8130

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