漫画やアニメに出るようなロボットを描く必要に迫られて考えたこと

木山喬鳥

漫画やアニメに出るようなロボットを描く必要に迫られたときの対処方法


 カクヨムに投稿している小説を書いているときに、アニメや漫画に登場するようなテイストのロボット(以下ロボと表記)のようなものを5体ほど出す展開になってしまいました。

 それらは、104話から出てしまうのです。


 間の悪いことに私は、作中に出てくるキャラクターを人間以外も含めて描画する癖があるのです。始末に負えない悪癖あくへきです。


 なので、この5体のロボも描くしかないとあきらめ、そして嘆息たんそくしたのです。

 なぜってほら、ロボは線が多くて描くのが面倒そうじゃないですか。

 でも描写の対象を描かないでは、気が済まないのです。安心して眠れないのです。なんだこの性格? と思いますよ。自分でも。


 そんな次第なので、苦しみから逃れたい一心で、造形の参考にしようと、多数のロボを見たり実際に描いていました。

 その際に気づいたことが、いくつかあるのです。


 おそらくロボの出てくる娯楽作品を好む人や、趣味としてロボを描いている人は、あたりまえに思うことなのでしょう。

 だけど小説投稿サイトには、素人がロボの形を考えるエッセイは、ほとんどありません。

 なので、とりあえずここに記しておこうと思います。


 ※これはあくまで素人の個人的な感想であり、創作論ではないのです。



 まず多くのロボを並べて気がつくことは、ロボットの形にはいくつかのパターンがある、ということです。

 多くの場合、ロボの姿形は大まかにグループ分けができるのです。

 以下にいくつか、挙げてみましょう。


 西洋や東洋の甲冑かっちゅうをベースにしたグループ。

 昆虫などの動物がベースのグループ。

 戦車などの兵器や乗り物がベースのグループ。

 武器や工具などの道具がベースのグループ、等々。


 これらは、現実にある形を模倣もほうしたり、複数の造形を混在させてロボの形にしているものです。


 例えばカブトムシを銀色に塗って直立させて前肢にドリル。後肢にキャタピラーとかつけたら、もうロボです。

 ※あくまで想像上の話です。実物でやってはいけません。写真や絵画を切り貼りしましょう。


 西洋の全身鎧なんて、そのままロボだし。

 まだ〝らしさ〟が足りないなら、手をペンチに、足を杭打機に変えて肩に大砲の砲身とかつけたら、もうロボです。

 簡単に済ませるなら、それでいいのです。

 これらはコラージュやモンタージュという手法です。

 異質な雰囲気のモチーフを制作する際に広告美術などで、よく用いられてきました。

 しかし〝モンタージュで万事オッケー!〟だとここで話が終わってしまいます。

 なので、その先を考えてみます。


 いろいろな事物を模倣したり混在させてロボの形を作る場合は、全体の形状として人体に似た形が多く使われるようです。

 人体に似ているとは、以下のことを指します。

 まず直立していること。

 次に全体的には正中線を境に線対称であることです。

 あとは、頭部、胸部、腹部、腰部それと四肢が備わっている。

 こんな作例が多い印象です。


 ロボを登場人物として見た場合、人体に似た形は、見る人の大多数へ、わかりやすいと思われるのでしょう。

 その結果として人体に似た形は作例が多いのです。


 つまりは、考えなく人体と似た形のロボを描くと、ありきたりの形、陳腐ちんぷなパターンになります。

 ではどうすれば、ロボは独自な姿形になるのでしょうか?


 お手軽な手法としては、ロボを人体とは似ていない形にすることです。

 これだと、類似の作例は減ります。

 人体の形から離れていく形状は、作品数が比較的少ないために、いくらかの新奇性しんきせいが得られることでしょう。

 しかし同時にその姿形を、心理的に忌避きひする人も出てくるのではないでしょうか。


 見方によっては、人体を模倣しないロボは、人間の身体の部位を変形したり、増減させたりしているようにも見えますから。


 人体の類型から離れるほどに、ロボは〝キャラクター〟というより〝キャラクターの道具〟といった感覚が増すように思えます。


 もっとも、正面に顔がついていて表情が変われば車でも機関車でもキャラクターです。

 しかし、それはロボではないのです。

 よって話の対象ではないため、ここでは割愛かつあいします。



 この話の本来の趣旨しゅしに立ち返ります。

 小説に出てくるロボの姿を思案しあんするときに考える必要のある〝肝心かんじんなこと〟は、なんなのでしょうか?

 少なくとも、ありきたりかそうでないかということではないのでしょう。

 私が思うに、ロボが作中でになう役割にふさわしい形こそが、要点なのではないでしょうか。


 役割に沿って決められたロボの形状や要素は、一言で説明できることが望ましいと考えます。


 例えば────

「丸い」「逆三角形」「クモっぽい」「ゴチャゴチャ」

 などなど。

 一見してわかることが適切です。

 誤解がないようにつけ加えるなら、かならずしも形を単純化するということではありません。

 印象をわかりやすく整理する、ということです。

 もちろん形をそのまま意図した形状に近くするのは、効果的な調整方法です。


 例えばロボに「丸い」印象を与えたいのなら、そのまま球体を使えば簡単です。

 だけど、半球の組み合わせでも丸くなります。多面体の面を増やした立体でもそれは可能です。

 意図を表わす図形の組み合わせは、きっとたくさんあると思います。


 実際にこの作業をしていて気がついたことがありました。

 描いた図像を吟味ぎんみする際には〝言葉での整理〟が有効なのです。

 意図した印象をいくつかの言葉にして、その言葉に当てはまる構成や表現を心がけると、形がまとまりやすかったのです。


 聞くところによると生成AIで行う作画も、言語で指示を入力するそうです。

 完全に手作業なロボお絵かきが生成AIの作成の入力と似通にかよった手順を経るのは興味深いことです。



 では次に。

 全体の形状が大まかに決まったら、さらに形を調整します。

 各部から全体に。

 全体から各部に。

 形とバランスを設定した印象を目指して、調整して描きます。

 留意りゅういするのは、各部の形状や繋ぎ方です。

 紙に描いている場合、私はここで画面を切り張りします。

 各部の長さや割合、角度を実際に切って貼って調節しました。

 描画ソフトの場合は画面上で同様の作業を行います。

 この作業は童心に返るようで楽しいです。


〝私の場合〟と限るならば、その調整には、昭和世代の漫画家の方々が描かれたロボの雰囲気を参考にしています。たんなる趣味嗜好しゅみしこうなので、ここは各人がお好きなテイストを加味かみしてください。

 しかしこの過程は、また別の作図的な話になるので今回は割愛します。


 ラフな形まで描き終えた次の作業は、

 これまた、私の趣味的な作業です。

 ロボを描いた線の数を減らすのです。

 形がわかる最小限度まで線を減らして、全体の調子を見ます。


 線描では、線を増やすほどに見るべき焦点が増えます。

 すると書かれた図画全体に視点が巡り、どの部分もならされた平坦へいたんな印象の絵になります。


 下手なウソほど多弁になるように、線や構造を足し続けたら良くなるわけではないようです。

 もっとも。逆に情報の粗密さを意図したうえでその差異を利用して見る人の視線を誘導するような造形ならば、この過程は不要ですね。


 最後に、そのロボが運用されていたなら、その過程でついたであろうステッカーやマーキング、傷や汚れなどを設定に従って描き加えます。

 できれば正面だけでなく背面や側面、上面などもあれば望ましいのです。


 また私の場合に限って恐縮ですが。

 今回は、作品を読む人に外観の印象を伝える目的なので、正面だけの線画に留めました。

 ここ何十年かロボにバックパックな部位が多く描かれるようになってから、背面の作画は相当に重要だとわかっていますが、泣く泣く止めました。

 余暇の時間は、文字を書くことへ優先して振り分けたいためです。


 以上のことを考えて制作していました。

 これでうまくいったかどうかは、いまだに判然とはしません。

 該当する話が投稿された後に〝近況ノート〟へ、その話に登場するロボの絵を貼る予定です。

 その際には、なにかしらの感想をお伝えくだされば幸いです。


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