第2話
「ホワイトキングモード発動」
バイザーにそう表示されると、私の全身に力が漲る。
私がちょっと動くと、目の前には怖そうな人達の姿があり、体当たりをする形になった。
ちょっとぶつかっただけと思ったけど、私がぶつかった人が5メートルは吹っ飛んでしまい、ぶつかった相手は起きれないみたいだ。
これで残りは4人、私は一歩踏み出し、目の前一人の胸を掌底で殴る。
こちらも3メートルほど、吹っ飛んで、動けないみたいだね。
私は素早く切り返し、左方向に動く、そのまま裏拳を相手の顎を掠めるように当てる。
相手は脳震盪を起こしたみたいで崩れ落ちる。
これで残りは2人、私の動きについてこれないのか怖そうな人たちは微動だに動かない。
私は目の前の2人を連続で殴り、吹っ飛ばす。
5人の動きを封じた私は、周囲の警戒を行う。
どうやら、他に仲間はいないみたいだね。
「ホワイトキングモード終了」
私が周囲に敵がいないと判断すると、全身から先ほどの力が抜けていく。
それでも、警戒を続けていると後ろのおじさんが、
「いや〜、助かったよ!ありがとう。奴らちょっと肩がぶつかっただけで、5人に囲まれてしまったんだよ。久しぶりにお酒を飲んだらこのザマさ。」
私は早口で喋るおじさんを無視して、
「じゃあ、これで。」
そう言って、大通りに向かって走る。
そして、逃げるようにジャンプすると思いっきり高くジャンプできた。
ビルの屋上まで届くくらいの高さだ。
「ホワイトキングモードとやらじゃないのに、こんなに動けるの!?」
私はビルの屋上に隠れて、ホワイトキングのコスチュームを脱ごうとするとコスチュームが自動で解ける。
私はホワイトキングのコスチュームを脱ぐと、通勤している時によく着ているお気に入りのコーデの服だ。少し安心した。
「良かった〜。ライトレンジャーの近未来的なタイツじゃなかった。あの格好は身体のラインがはっきり分かるから恥ずかしいもんね。」
でも、何でホワイトキングのコスチュームをしていたのだろう。
そして、あのアニメのホワイトキングみたいな強さ・・・。
私は、今日は休みだから・・お母さんを探すために・・・、
駄目だ、朝、家を出てからの記憶がない。
自分の名前・・、は分かる、
腕時計を見ると、もう18時だ。
街灯はあるけど、辺りは暗くなる頃だ。
今日は実家に帰ろう。
夜遅くまで動いていると、警察官に職質されてしまうし、若い女性(まだ若いと思いたい。)が怖そうな人達がいる街でいたら、警察官より、変な人達に声をかけられてしまう。
そう思って、母のいなくなった実家に向かって、ビルを降りる。
「お母さん、何処に行ったのよ。お父さんも探しているよ。」
私は反抗期の頃から父親とはあまり話していなかったし、母親が失踪扱いになっているので、父娘仲はあまり良くないと父親は思っているだろう。
ちょうど就職してから家を出ちゃったからね。
だけど、父親を嫌っているわけではない。
だって、休みの日に、母さんをあんなに一生懸命探しているのだから。
私は自分に起きた出来事を頭に思い浮かべながら、実家に向かって、歩き始める。
アニメの悪役の後を継ぐ女は悪役獅子の夢を見るか? 鍛冶屋 優雨 @sasuke008
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