その2

 ある晴れた午後…

 

 その中年男が道を歩いていると、真ん前の角からスーパーカーが飛び出してきて、危うくぶつかりそうになった。


「す、すみませんッ。急いで家に帰って、対決スーパーカークイズを観たかった情状酌量の余地あり?ものでッ。おケガはっ…」

 

 ひとりのイケメン青年が、あたふたと運転席から降りてきて言った。


 また、助手席に乗る世界一イイ女極めて抽象的も、顔を出して共に詫びている。


 と、そこで男が応えて曰く、


「気をつけろ、このッ…このスーパイケメン、金持ちモテモテ男がッ。いよッ」

 

「は、はぁ…?」


 その憤る中にも賞賛が窺える男の悪態(?)を耳に、青年は首を傾げる事しきり。


 一方、男はといえば、


「ど〜ぉせおいらは〜…」

 

 とか歌いながら、まもなくその場を去っていった。


 そんな彼のことを、人は『どこか寛容な悪態男』と呼ぶ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

どこか優しい悪態男 七七七@男姉 @138148

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ