2024年 11月24日 蓮条さん

蓮の、花。

私が――1番好きな花。

この花には、ひとつの素敵な思い出がある。


私、昔から「幸せな思い出」がなかった。

そもそも「幸せ」ってのがよくわかんなくて。

ずっと、偽物の笑顔を浮かべて自分を守ってた。

どうしたらこの日常を変えられる?

そんなこと、考えたこともない。

私は今を生きるだけで精一杯。

これから先のことなんて考えられない。

「今」しか生きれない。

そんな毎日だった。


――でもね。

変わったんだよ。

転機は――高校に入学したとき。

知り合いが誰もいない高校に入れて、私もやっと変われるのかなって思った。

人一倍勉強を頑張った。

慣れない人付き合いだってした。

メイクだって頑張った。

「好きだ」って、言って貰えた。

――でも、信じられなくて。

それは、「今の私」? それとも、「本当の私」……?

どうすればいいのか分からなかった。

ただただ今までと同じように笑顔で対応をした。

また、


結局、その人とは長続きしなかった。

幸せが何なのかわかんないまま別れてしまった。

私には「常識」がないから、これが普通なのかどうかもわかんない。

――これってどうなんだろう?

まぁ、なんとかなるだろう。

自分自身に疑問を持ちながら、日々を悶々と過ごした。


――また、そんな私を好きって言ってくれる人がいた。

仲がいい人で、関係が崩れるのも怖かったけど、君の言葉にときめいちゃったから。

私は、人を信じることにした。


でも、辛かった。

本当の私をさらけ出したら、この人はどう思うんだろう?

私を好きでいてくれるのかな?

嫌われちゃうのかな?

怖くて怖くて怖くて……仕方なかった。

だから、ほんとに。

救われたんだよ。

知らないかな。

君は、覚えていない――かな?


初めてのデートの時のこと。

蓮の花がある公園に連れてってもらった。

普通とかよくわかんないけど、君のことがどうしようもなく好きだったから――君といられるだけで、

そう思った。

そんな私に――君が言ったんだ。


「蓮の花の花言葉――知ってる?」

「……清らかな、心だっけ?」


自信なさげに言ったけど、これは対策済みである。

でも、これを聞いてどうしようというの?

「清らかな心」を持て……ってこと?

――君も、私に偶像を押し付けてくるんだね。

また、自分を

そうすると、君が言った。


「それもあるね。でも、僕が思ってたのは違ったな」

「…………え?」


彼の望んでることが、よくわかんない。

どうしたんだろう。

すると、彼はおもむろに手の携帯を弄り始めた。

君が携帯をあまり使わない。

使うのは――連絡と、調べ物の時ぐらい。


「ほら、これ見て」


そう言って君はスマホを私に向ける。

そこにあったのは――


「私を……救って?」

「そ」


――これが、何に関係あるのだろう。


「僕さ。まだお前と付き合ってからそんなに年数も経ってないし、苦しみとかもわかってあげられないと思う。――でも、それを一人で抱え込むのは違う。……頼っていいんだよ」


……え?


「僕は、ありのままの君が好きだから」

「……ほんとに?」

「あぁ」


……本当に?

私、そのままでいていいの?

笑顔作らなくて? 周りに、合わせなくて? そのままで、いいの?

なんでだろ。

視界が歪む。

泣きたくないのに、涙が溢れてくる。


「……泣いていいから」


そう言って、君は肩を貸してくれた。

この日から、私は「本当の私」になれた。

ありがとう。

本当に。

君がいたから、私は私でいられたんだ――!


今日は、また特別な日になるだろう。

君と私の記念日に。

新しい、思い出に。

白い衣装を纏った君が近づいてくる。


「白い蓮の髪飾り、似合ってんじゃん」

「そう? ありがとう」


私の明日は――きっと希望に満ちている。



蓮条さん

https://kakuyomu.jp/users/renjoh0502


1日遅れてしまい大変申し訳ございません……。

お誕生日、おめでとうございます!

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2025年11月16日 00:00

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