第55話
「コ、コレクション……?」
訝しそうに眉をひそめ、莉奈は、悦に入った俺に問いかけた。
「あれ?見せたこと無かったっけ?莉奈の成長記録として、写真と一緒に色々大切に保管してあるんだ~。幼稚園の時の名札とか、莉奈が初めて折り紙で作ったチューリップとか、バイエルの教本とか」
「えぇっ?……そんなものまで……?」
「由佳里ちゃんに、棄てるぐらいなら頂戴~、って頼んだんだ。全部、俺の宝物だよ」
「もう……お母さんってば……。っていうか、それこそ、ヒサキさんに非難されません?」
「うん、気持ち悪い、とか、莉奈が可哀相だ、って、昔は散々非難された。最近は、呆れてものも言えない、って」
「そ、そうですか……」
「全ては、莉奈への愛故に…だよ」
「あはは……、ありがとうございます」
母親とヒサキ公認の趣味なら仕方ない、とでも思ったのだろう。
莉奈は、大きくため息をつき、それから照れくさそうに苦笑した。
「……これも……生涯、大切にする」
誓いをこめて、白いリボンにそっと唇を寄せる。
そう。
大切にする。
だって。
君が、俺の憂いを秘めて神の御前に立つ、その時に。
俺は、これを装いの内に秘め、至誠の証とするのだから。
Something Blue【完】
解けない魔法【番外編】 麻綾 @m-aya
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