第54話

「修哉おじさんから、俊彦おじさんに全て任せて従うように言われているんです。私の為に私の幸福を願って、最上の装いを用意してくれる人は俊彦おじさんをおいて他にいないから、って」






「………っ」






「私もそう思います。たとえ下着の飾りであってもマリエの1部ですし、なにより私が自ら望んで受け入れたものです。ヒサキさんも非難なんかしませんよ」







自ら望んで……受け入れた……。







──それが、どんな物であっても──








まさか……。







俺の惑いの理由も、それに至るまでの何もかもを覚って。







それでも。







伴ってくれるのか?







この、狂おしい程の愛しさも。







如何ともし難い、この寂しさすらも。

















「……それじゃあ、これは、俺が貰っていいかな?」







二つに裁たれた白いリボンを軽く掲げ、伺うと。






「え?はい、どうぞ。……でも……それ、どうするんですか?」






莉奈は、思いがけないと言わんばかりの表情で承諾しつつ、首をかしげた。







どうするか、って?






それは……秘密だよ。








「そんなの決まってる。俺のコレクションに加えるんだ」







本当の目的こそ伏せたけど、これは決して嘘じゃない。






いずれは、そうする。






でも。





その時を過ぎたら、だ。

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