第2話 地球人ローレの現在

 ガムをんでふくらませて〜を呑気に繰り返していたとき先生と目が合った。


先生「では続きを、ローレ!」


 黒板には【イーバは悪】とだけ書かれてあった。


ローレ「ああ、そっかぁ。近代社会の授業中かぁ。」 


 なおもボーッとしている私に先生は何重ものシワを目検に寄せこちらを見てきた。生徒らのクスクスと笑っている声がする。私は後ろの席の子に椅子を傾け尋ねた。


ローレ「ええっと、何ページ?」


「23ページだよッ」


ローレ「ありがと。あ、あと教科書忘れたから貸して」


「ったく、しっかりしろよッ」


ガタッ


ローレ「え〜と、我々がイーバと呼ぶ異人が、地球に出現するようになったのは、10年前になる。え〜と?出現と同時期に地球上すべてのネットワーク技術が、破壊され、我々の生活は原始に戻った。うん。そして今現在もイーバの生体は、明らかになっていない。むむむ。」


先生「地球を乗っ取ろうとするイーバを許すな!」

 

ローレ「!?」


 先生は急に大声を出し黒板の【イーバは悪】の文字の所をバーン!と叩いた。こういうテンションの人、本当無理〜。



─ガヤガヤ



 先生の次はなにやら廊下が騒がしくなった。


 

 パアーン!!!



ローレ「ん?信号弾の音?」


「イーバが出たぞー!」

「に、逃げろー!」



ローレ「イーバが来たーー!!Yeah!!」



 私は1オクターブ高い声をだした。



先生「ぎゃー!」


 先生が先に逃げ


「きゃー!」


 それを筆頭に生徒らも逃げ回った。


 私は、この時を待っていたのだーー!と言わんばかりの勢いで足をもたつかせ、光陽しながら騒ぎがあった方へ走った。


 しかしながら顔はニヤついていても身体は恐怖で震えてる。

 走りながら震える手で胸ポケットからメモ用紙とペンをとり出したその時、ガシッと誰かが私の腕を掴み行く手をはばんだ。


 振り返るとメガネ姿の委員長がいた。


委員長「ローレ!避難しましょう!」


ローレ「は、な、せ!委員長!」


 私は手を振り切りその反動で委員長は床にしりもちをついた。


ローレ「私は行く!こんな時でないと、あの人に会えるチャンス、滅多にないし!」


 騒ぎの中に自ら駆けていく私に委員長は

委員長「…あいつ、アホだ」

 と呟いていた。

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あなたの大切な人が異人だったら?気持ちは変わりませんか? A.(人による) ムーディyou香 @moodyyouka

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