第1話 美少女ギャルとバスの中でイチャイチャする。

 教室を出てから、俺は宮波さんと並んで外へ向かっていた。


「宮波さんごめん。もしかして俺、余計なことしちゃったかな?」


 今更なんだって思われるかもしれないが、俺は心配だったのでつい宮波さんに問いかけた。


 もしあれで俺だけが空気の読めないヤツと馬鹿にされるだけなら別によかった。けど、結果的に宮波さんも感情的になってグループの生徒たちと縁を切った。


 彼女は明日から、クラスで居心地の悪い思いをすることになってしまうかもしれない。


「謝んなくていーの。アタシもともとあいつらのノリ嫌いだったし……けど、事を荒立てるのも恐くてその場の空気に合わせてた。オタクだってことも隠してたんだけど、たまたま昨日本屋さんで買ったラノベがいれっぱになってて、帰りのホームルームのときに見つかっちゃってさ」


「そうだったんだ……」


「アタシ、嬉しかったんだよ。神沢くんがああやってかばってくれたこと」


 そう言って宮波さんはさりげなく、俺の服の袖をギュッと握って来る。


「そ、そっか……それならよかったよ」


 や、ヤバいな……そんな弱々しくスキンシップをされたら。妹や母親以外の女性とろくに会話したことのない俺が、こんな可愛いギャルに急接近されて冷静でいられるわけがない。


 けど、変にオドオドしてもキモいと思われるだけだ。俺はなんとか平静を装う。


 そうこうしているうちにスクールバスがやって来る。俺はバスで登校しているのだが、宮波さんも同じようだった。俺たちは一緒にバスに乗り、隣の席に座る。


 バス内の狭い空間では、普通に座っているだけでもお互いの腕と腕が触れ合ってしまう。宮波さんの肌の暖かさが、制服越しにも伝わって来た。


「神沢くんもラノベとか好きなんだよね? いつも教室で読んでるし。よかったら、色々お話ししたいからさ」


 そう言って、宮波さんはスマホを取り出して体を近づけてくる。連絡先を交換しようということらしかった。


「あぁ、もちろん交換しよう!」


 俺もスマートフォンを取り出し、アカウントを交換するためのQRコードを表示すると、それを読み取るために彼女はさらに体を寄せてくる。 


 すると必然的に胸の柔らかい感触が、ムニィ♡ と、俺の腕に当たる。同時にもともと丈の短いスカートが座っていることでまくれ上がり、丸出しになった太ももがムッチィ♡ と俺の足に当たる。


「~~~ッ!!!」


 俺はなんとか平静をっ、装い……見悶える。


 まだバスは発車していないのに、すでに限界を迎えている。これから駅にバスが到着するまで、陰キャぼっちの俺には刺激の強すぎる、一世一代の大勝負が始まるのだった。

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カーストトップの美少女ギャルが性格の悪い陽キャたちと縁を切った。そして陰キャぼっちな俺にだけデレデレになった! 踊る標識 @odoru_hyousiki

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