道化

道化

　大切な人を自分が死なせてしまった負い目から、自分はその人に似た境遇の人を支えていくと決めたが、その人にも自分の思いは伝わることなく、自分の死は迫っていた。

その人はどんなに苦しくなっても、人に笑いかけ理想を語った。

ただその理想は私たちには遠すぎた。

その人の心はすごく綺麗で眩しかった。

悪気のないことがわかるからこそ、陰で支えた。

その間私を支えてくれるものは人形で良かった。

その人を思い出させてくれる飾り物、それだけで良かった。

あとはこの世界に捧げて、私は道化になることを選んだ。

ここに来た人を記録に残して。

あの人がとても好きな私と、だからこそ嫌いな私がいる。

私と似ているあの人の気持ちがわかって、つらい。

　誰も悪くないんだ。自分は大切な人に似た人たちを支援して、それはとてもとてもつらいことだったけど、誰かがいなくなるよりマシなんだ。

大切な人たちを失うくらいなら、自分がどれだけ傷つけてもいい悪者になるよ。

その人たちには伝わらないかもしれないけど、いつか誰かが心の中でわかってくれると良いな。

たくさん自分と戦って、たくさんの気づきを得てほしい。

そうして進み続ければ、私は満足するだろう。