物語を、そして人生を。短歌の如き文字の檻に籠めたこの作品は、然しながら季語や枕詞といった古典的な手法は敢えて採らずに、ストレートに『光』と『闇』とを描き出している。そういった意味では詩篇でもあるだろう。『光』と『闇』この最も鮮烈な対比。共依存の態にも関わらず、互いを敬いつつ決して相容れる事はない。作者は、その二つの『摂理』の有り様を時に強く、時に優しく、七つの歌にて問いかけて来る。光在れ、ならば闇をも。詩的な寓話を、短歌へと応用したこの作品如何ように読み解くか。作者の為人と言葉を扱う鬼才が闇の中で、光る。
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