東宮・晴彦の妃選びに集められた、翡翠領・紅玉領・瑠璃領の計六名の姫たち。
彼女達の身の回りに不思議な事件が起こります。
巻き込まれる姫と、それに関わる妖しく美しい男・希彦。彼は東宮の妃選びを『楽しくする』というのです。
それぞれ個性を持つ姫達、帝、希彦、東宮、皇后、それぞれの思惑が錯綜し、ひたひたと恐ろしい因縁がしだいに明らかとなっていきます。
各章ごとに独立した異なる領の姫のお話となっていますが、その全てが繋がった時、この物語は完成します。
美しい姿に隠された、なんともおぞましい記憶。
これは彼(彼女)の復讐なのでしょうか。
淡々と綴られる物語に隠された秘密が、琥珀の忌子で明らかとなり、謎が解けるとともに人の醜さと恐ろしさも感じます。
綿密に織り込まれた伏線が最後に一気に回収されていくさまは、素晴らしいとしか言えません。
人間の狂気を主題としたホラーがお好きな方に、ぜひお勧めしたい作品です!