Chapter12 死亡

気が重い。

目の前で60人死んだんだ。

それも敵ではなく味方からの攻撃で。

そんなことを思いながら部屋のベッドに座っていた。

『あんまり気にしているとこの先きついぞ』

声をかけてきた火村はいかにも慣れているようだった。

「そりゃそうなんだけど…」

火村が一歩近づいた

『知ってるか?お前の親父のこと」

急になんだ

「なんですか?かなり気分悪いんですけど」

気分が悪い。

思い出しただけで吐き気がする。

『何キレてるん?』

バカ。

こいつはバカだ

変な仕事やり続けて頭がおかしいんだ。

「ふざけんなよ!怖いし、目の前で人が死ぬのを見たことさえないのにあんなに死ぬなんてっ」

もう色々な感情がたかぶってしまい、言葉がうまく出ない

涙が出た。

その涙の源は怒りでも、悲しみでもない。

気分が悪い

『こんなのも全部インターフェクターのせいだ。』

違う

そんなんじゃない

頭を掻きむしる。

苦しい。

**************************************

『目、覚めたね』

ここは?

『治療室。あなた、部屋で急に倒れて火村さんが連れてきてくださったんだよ。』

天井をしばらく見つめていた。

『元気になったんだったら、部屋に戻っていいからね』

元気ではある。

しかし、心のモヤモヤした気持ち悪い感情は消えていない。

初めて実感した戦場の厳しさ。

「あの…第一部隊って、」

聞いてみる…か

『うん』

でも聞いて気分が良くなるわけがない

なんなら気分悪くなってもおかしくない。

「すいません、やっぱなんでもないです」

部屋に戻ると、郵便受けに何か入っていた。

『井戸端へ

このAK47は自衛用に使え。

銃弾は480発入ってるが、足りなかったら追加購入しろ

追記 ヴァリレアは前回の戦闘で死亡した』

は…

そうか

前回死んだ60人にはヴァリレアさんも入っていたのか…

悔しい。

許さない。

天使を許さない。

じいちゃんと初めて声をかけてくれた人を奪った天使たちを。

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