応募作品について
総じて
まず、甘かった。
作品の詰めが甘い。突き詰めて至高のものを目指そうという気概が足りない。
百歩譲って「全作品が短期間で書くことを要請されたせいである」としても、簡単に妥協してしまうのが私の悪い癖である。
詩と各駅停車は抜きにするとして残りの小説三篇は総じて甘い。
構成が甘い。執筆に対する心構えが甘い。
……いや、これでもあの頃は真剣にやっているつもりだったのだが。――真剣にやっていたのだが。
終わってしまうとそうでもなかった気がしてきてしまう。
やはり勝ちに行く人たちの中にあっては足りなかったのだろう。
とはいえ人間、勝ちに行くことが全てではない。
そもそもと言えば私は「個人的な力試し」と楽しみのために参加を決めたのだ。その目的は十分すぎるほど達成された。
新しい方法を試したり、ジャンルに手を出したり、……。
……そう、新しい方法。
甲子園が終わったからといって私の創作人生が終わる訳じゃない。
誰も彼もがいつでも発展途上だ。特に高校生という年齢は。
もっと早く――昨年か一昨年にでも――カクヨム甲子園のことを知っていたら、と思わなくもない。
本番であるはずの舞台を中途半端な実験台にしてしまったことに対しても少し申し訳なさのようなものがある。
だがコンテストなど星の数ほどあるのだし、故に本番も実験台も望みさえすればこれからいくらでもある。
……なあんて、自分に言い聞かせているのである。
いやあ、自分でまくし立ててきて途中から違和感半端なかったわあ。あれ? 言いたいことこんなんだったっけ? って。
なんかそれらしいこと並べ立ててさ。
負け犬の遠吠えじゃん。
……いや、その言いぐさもないか。
いいか?
甲子園とほかのコンテストとを一緒くたにしちゃいけない。
なぜなら甲子園は、今しかできないことだったから。
高校生にしか。
これだけアオハルしてて、輝いてて、ピチピチしてて、仲間たちと純粋に切磋琢磨していられる時期が、これからあるだろうか?
答えは(懐かしむ大人たちの意見によると)ノー。
そりゃ悔しいよな。
いや甘い態度で臨んだのは自分だけど。もう悔やんでも遅いけど。
それでも一抹の後悔を抱えている自分がいる。
まだまだ発展途上?
チャンスはいくらでもある?
そうだけど、そうじゃない。
今が、今のところの最高到達点なんだから。
よく聞け高校生。(および未来の高校生。)
君たちはこの世の誰もが羨む地位にいる。
アオハルキラキラピチピチの最高到達点だ。
そうじゃない、自分はどん底にいるんだ、と思うやつもいるだろうが。
十代であるってだけで羨まれるってこと、覚えとけよ。
……って、私もまだ高校生だった。
あれ、何の話だっけ。
あ、総じて甘かったって話?
まあまあ許してあげましょうよ。甘かったのは過去の話。
カクヨム甲子園で「本気」って言葉の具現をいっぱい見た私は、もうあのときとは違うんだから。
なあんて、ね。
妥協を知らないような強い人間になりたいものだ。あくまで創作に関してだが。
……じゃあ、それぞれの作品の振り返りに入ろうか。
限りなき閑話~カクヨム甲子園2024を振り返って~ 藤堂こゆ @Koyu_tomato
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★9 エッセイ・ノンフィクション 連載中 22話
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