7

あの日、私の人生は絶望に変わった。


最愛の姉を民衆に殺され、失くなった筈の忌まわしきあのチカラがまた蘇ってしまった。


我を忘れて泣き叫び、恨みを吐き出した私の周りは、気付くと屍だらけになっている。


生き残ったのは私だけ。


御抱のメイドも、姉の婚約者【フィアンセ】も皆死体と成り果てていた。


「あ……お姉、様……?」


その中から姉の遺体を探す。


「お姉様、何処にいるの……?」


いくら探しても姉の遺体は見当たらず。


「もしかして、生きているの?」


私は辺りを一周見渡し、ゆっくりと唇を釣り上げた。


「フッ……フフフッ」


笑いながらそこらの死体を蹴り散らし、私は何処かで生きているであろう最愛の姉を求めて突き進む。


「待っててね、お姉様!!今迎えに行きますから!!また二人で暮らしましょう!?今度はもう誰にも奪わせはしないわ……!!絶対にッッ!!」


例え誰かが邪魔しようとも、私のこのチカラで全て消し去ってみせるから。


キャハハハと無邪気に嗤う少女に、もう昔の儚げな面影は無く、邪悪な顔つきで最愛の姉がいる町へと歩き出した。





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

沈黙の王国 冬生まれ @snowbirthday

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画