第16話 一つになる力
迷宮の中で、それぞれが課せられた試練を乗り越えながら、アレン、リナ、フィン、エミリアの4人は徐々にお互いの気配を感じ始めた。リナの精神魔法によって弱々しいながらも意識が繋がり、彼らは再び一つのチームとして集まるための手掛かりを見つけていた。
「リナ、聞こえるか?僕は北の通路の先にいるみたいだ!」
アレンが精神魔法を通じてリナに伝えると、彼女の声が意識の中で応えた。
「聞こえる!アレン、そこを進んで。フィンとエミリアの場所も感じ取れた。合流できる場所がある!」
それぞれの道を抜けた先で、4人はついに再会を果たした。疲労が見えるものの、その表情には達成感が漂っていた。
「みんな、無事でよかった!」
リナが安堵の声を上げると、フィンが冷静な口調で言った。「でも、これで終わりじゃない。この先に迷宮の本当の試練が待っているはずだ」
彼らの目の前には、巨大な扉がそびえ立っていた。その扉には古代文字が刻まれ、魔力が満ちた輝きを放っている。
「この扉の向こうに封印の核がある…でも、最後の試練があるって感じがする」
エミリアがその文字を慎重に読み取ると、「4人が心を一つにしなければ通れない」という条件が記されていた。
扉を開けた瞬間、4人の目の前に「封印の幻影」と呼ばれる存在が現れた。それは封印を守護してきた歴代の守護者たちの力が具現化したものであり、4人を試すために立ちはだかる。
「これは…ただの戦いじゃない」
アレンは幻影から放たれる威圧感に身を震わせたが、すぐに冷静さを取り戻した。
幻影は4人に次々と問いかける声を放ち、彼らの不安や恐怖を増幅させた。
「お前たちの力で封印を守れるはずがない」
「本当に仲間を信じられるのか?」
幻影が彼らの心を揺さぶり、4人の動きを鈍らせようとする。だが、リナがその声を遮るように意識同調魔法を発動した。
「みんな、惑わされないで!私たちは一緒にここまで来たんだから、信じ合えば必ず乗り越えられる!」
フィンは幻影の動きに集中し、その攻撃の規則性を見抜いた。「あの攻撃には間隔がある。リズムを読めば、次の動きを予測できる!」
彼の冷静な判断が、4人に攻撃を回避する隙を与えた。
エミリアは幻影の形態が封印に関する古代魔法の一部だと気づき、その対抗手段を考え始めた。
「幻影は負の感情をエネルギーにしているわ。私たちが恐れを克服すれば、力を弱められる!」
リナの精神魔法が、4人を一つの意識で繋ぎ、完全なチームワークを実現させた。お互いの考えや動きが共有され、幻影の攻撃を次々と回避していく。
アレンはクロスリンク魔法を発動し、フィンの攻撃魔法とエミリアの知識から得た光の力を融合させた。その魔力が、幻影の核に一撃を加えた。
連携による一撃が決まり、幻影はついに形を失った。部屋の奥には、「封印の核」と呼ばれる結晶が静かに輝いていた。それは迷宮全体を支える力そのものであり、アレンたちが守るべき象徴でもあった。
「これが、封印の核…」
アレンが感嘆の声を漏らす中、リナが優しく言葉を続けた。「私たちがこの力を守るために選ばれたんだね」
4人はその場で守護者としての誓いを新たにし、封印の核を目に焼き付けると、迷宮を後にした。
迷宮を無事に突破した4人は、学園長のもとへ戻った。学園長は満足げに頷き、彼らの成長を評価した。
「君たちは守護者としての試練を見事に乗り越えた。これから探偵事務所としても、封印の守護者としても、期待している」
4人はそれぞれ深く頭を下げ、その期待に応える決意を胸に刻んだ。
異世界探偵アレン 星野チーズ @hoshinocheese
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