第15話 試練への招待状

学園内で探偵事務所を正式に設立したアレンたち。しかし、それは単に封印を守る役割を担うだけでなく、異世界全体の平和を守るための第一歩でもあった。学園長はその重要性を十分理解しており、次の段階に進むための準備をしていた。


「アレン、リナ、フィン、エミリア。探偵事務所を設立した君たちには、次に『守護者の試練』を受けてもらう必要がある」


学園長の言葉に4人は驚いた様子を見せたが、その真剣な表情から、この試練がただの儀式ではないことを感じ取った。


守護者の試練とは


学園長が語るところによると、学園の地下には「封印の迷宮」と呼ばれる空間が存在している。それは、代々封印を守護する者たちが自身の力と絆を試すために用意されてきた場所だという。


「この迷宮には、封印そのものに触れる者としての覚悟が試される仕掛けが施されている。試練を乗り越えることが、君たちが真の守護者である証明となる」


「試練って、どんなものが待っているんですか?」


リナが質問すると、学園長は静かに答えた。


「それは誰にも分からない。迷宮の中では、その時々で異なる試練が現れるとされている。だが一つだけ確かなのは、君たちが4人全員で戻ってくること。それが条件だ」


「全員で…戻る」


アレンはその言葉に深く頷いた。これまでの活動では、それぞれが自分の役割を果たしてきたが、4人で力を合わせる本当の意味をまだ体感していなかった。試練を通じて、それを知る機会が訪れるのだと直感した。


試練の日、4人は学園長に導かれ、封印の迷宮の入り口へと向かった。地下深くに進むにつれ、空気がひんやりと冷たくなり、周囲が不気味な静けさに包まれていく。


「ここが、封印の迷宮か…」


目の前に現れた巨大な石扉。その表面には古代文字が刻まれており、魔力が満ちた光を放っていた。学園長が扉に手をかざすと、石扉が重々しい音を立てて開かれた。


「この先に進むと、迷宮が君たちを試すだろう。だが、決して一人では立ち向かわないことだ。試練はチームとしての力を見極めるためのものだ」


学園長の言葉を胸に刻み、アレンたちは石扉の中へと足を踏み入れた。


迷宮の中に入った瞬間、4人の視界が一瞬で歪んだ。次に目を開けた時、それぞれが別々の場所に立っていた。


「みんな、どこだ!?」


アレンが叫ぶも、誰の声も返ってこない。彼は焦りを感じながらも、冷静さを取り戻そうと自分に言い聞かせた。「これは試練なんだ。僕たちは一人じゃない、必ず全員でここを出る」


リナもまた、別の場所で孤独を感じながら、精神魔法で仲間たちの気配を探ろうとしていた。


「アレン、フィン、エミリア…聞こえる?」


微弱な魔力を感じながら、彼女は手探りで仲間たちの場所を突き止めようとした。


各自が直面した試練は異なっていた。

アレンの試練: 迷宮内に現れた幻影が、彼の心の中に潜む弱さを突いてきた。「君が封印を守れるはずがない」「自分の力を過信するな」と囁きかける声に、アレンは過去の記憶を振り返りながら、自らの価値を再確認する必要に迫られる。


リナの試練: 精神魔法を使う彼女に課せられたのは、迷宮が放つ強大な負の感情に耐えることだった。リナは自身の心を強く保ちながら、仲間たちを探す手がかりを見つけようとした。


フィンの試練: 彼が進んだ通路には、魔法陣が張り巡らされており、一つのミスが命取りになる仕掛けだった。分析力を活かして正しい道を見つけ出すことが求められる。


エミリアの試練: 古代文字で満たされた部屋に閉じ込められた彼女は、その文字を解読して封印の核への道を開く必要があった。知識が試される場面で、彼女は自分の価値を見いだしていく。


それぞれが試練を乗り越えようとする中、リナの精神魔法が徐々に仲間たちとの意識をつなぎ始めた。4人はまだ離れた場所にいたが、互いの気配を感じ、再び一つのチームとして集まるために動き始めた。


「アレン、フィン、エミリア…みんなで絶対に乗り越えよう!」


リナの強い決意が響き渡り、4人は迷宮の奥へと向かって進み始めた。

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